スタッフ
監督:ハワード・ホークス
製作:ハワード・ホークス
脚本:ジュールス・ファーズマン、リー・ブラケット
撮影:ラッセル・ハーラン
音楽:デミトリィ・ティオムキン
キャスト
チャンス / ジョン・ウェイン
デュード / ディーン・マーティン
コロラド / リッキー・ネルソン
スタンピー / ウォルター・ブレナン
ホイラー / ワード・ボンド
フェザース / アンジー・ディッキンソン
ジョー・バーディット / クロード・エイキンズ
ネーサン・バーディット / ジョン・ラッセル
カルロス / ペドロ・ゴンザレス・ゴンザレス
日本公開: 1959年
製作国: アメリカ H・ホークス・プロ作品
配給: ワーナー
あらすじとコメント
前回の主演女優アンジー・ディッキンソン。色気があり、好きな女優のひとり。本当は、他に彼女らしさがでた作品が二本ほどほどあるのだが、TVムーヴィーゆえアップする写真が皆無。なので、仕方なくあきらめて、若かりし彼女の出演作ではピカイチの西部劇にした。それもそのはず、監督は、ご贔屓のひとりハワード・ホークスだ。
アメリカ、テキサス。メキシコとの国境の町リオ・ブラヴォー。そこの保安官チャンス(ジョン・ウェイン)は、酒場に酒をせびりに来たデュード(ディーン・マーティン)を馬鹿にした挙句、止めに入った丸腰の男を射殺した男を逮捕した。
しかし、その男の兄は一帯を取り仕切る悪党で、すぐさま無法者を大量に雇い、町を封鎖し、弟を連れだすことも応援を呼ぶこともさせないようにした。
チャンスはデュードを保安官助手に任命したが、残る仲間は足の悪いジイサンのスタンピー(ウォルター・ブレナン)だけ。そんなとき、チャンスの旧友の一団が町にやってきた。
その中に、若いガンマンのコロラド(リッキー・ネルソン)がいた・・・
これぞ王道と呼べる「西部劇」の金字塔。
威風堂々としているが女は不得手な主人公。以前は、彼の助手だったが、タチの悪い女に引っ掛かり、酒浸りになった男。頼りになるのかどうかわからないが、滅法気の良いチャーミングな老人。クールで銃の腕も立つ若者。そして、女ギャンブラー。
メインの物語は単純。財力にものを言わせる悪党と正義の保安官とほんの数人の仲間による攻防戦。ただし、あまりにも出来過ぎとも取れる設定であるのも事実。
金で多くのガンマンを雇いながら、物量で、単純には攻め込まない牧場主。一応は、町の風紀に寄与しているイメージもある。ゆえに町は至って静かであり、普通の人々は、普通に生活しているという不思議。
かといって、保安官たちの行動だけには目を光らせている。妙な意地の張り合いというというか、見栄の張り合いという風情。どちらサイドも頭の切れる人間は存在しなくて、頭脳戦が展開するでもない。
ノンビリとした筋運び。ここが好き嫌いの分かれ目だろうか。あまりにも鷹揚過ぎると感じリズムが合わないと感じる人間も多いに違いない。
それでも個人的には大好きなのだ。何故なら、本作のメインは、文句ばかりを言ったり、気弱になったりと、それぞれのキャラクターが好き勝手に言動しているが、根底に流れる「信頼」や「友情」といった『仲間内』という連帯感が絶妙に面白いからである。
アル中の葛藤や不思議なスタンスの若者、百戦錬磨の女と主人公の恋の駆け引き、ホテルのメキシコ人経営者の存在といった「仲間内」のシリアスであったり、コメディだったりといったドラマの中で、小さめのアクションが挿入されていく。
しかも、アクション場面が、単独の戦いではなく、常に仲間内の連係プレーであり、そんな仲間が仲良く唄を歌ったりする。その絶妙な連帯というリズム感。
出演者では、足の悪い老保安官助手を演じるウォルター・ブレナンが圧倒的。いつも文句ばかりを言いながら、絶妙な演技で他の出演者たちを喰う見事さ。他のメンバー全員との個々の掛け合いも見事だし、トボケていながら、どこか安心感がある。しかし、それでも頼るには、足元が覚束ないという絶妙の外し方。
こういった男たちの友情というか、「あうん」の呼吸のドラマこそがハワード・ホークスの真骨頂である。
ユーモラスな場面と、さっと挿入されるサスペンスとのバランス感覚。ただし、時代がかっている。
ジェット・コースターのような映画が好きという人間に、サイクリングの楽しさを説くのと同じかもしれぬ。
ある意味、「仲間内」対「敵」という単純図式ゆえに、町民の存在感の薄さに不満を覚えるかもしれぬし、そこが「排他的」と感じるかもしれない。
それでも、多勢に無勢でありながら、結局は、何度見ても予定調和通りの大団円というラストにニヤリとするのは、こちらが偏っているからか。
それでも大好きな映画である。