スタッフ
監督:ジャック・カーディフ
製作:ジョージ・スミス
脚本:エイドリアン・スパイ、クエンティン・ワーティ
撮影:エドワード・スケイン
音楽:ジャック・ルーシュ
キャスト
カレー大尉 / ロッド・テイラー
クレア / イヴェット・ミミュー
ルッフォ軍曹 / ジム・ブラウン
ヘンライン大尉 / ペーター・カールスティン
リード軍医 / ケネス・モア
ブーシェ少尉 / アンドレ・モレル
スリエ / オリヴィエ・デスポー
デラージ / ガイ・ディ
ウービ / カルヴィン・ロックハート
日本公開: 1968年
製作国: イギリス G・イングランド・プロ作品
配給: MGM
あらすじとコメント
今回もケネス・モア出演作。彼の主演で列車アクションといえば、個人的に大好きな「北西戦線」(1959)が真っ先に浮かぶが、随分と前にだが、ここで扱ったので別な作品にした。彼は脇に回っているが、これはこれで興味深い作品。
アフリカ、コンゴ。ベルギーから独立したものの、内戦状態が続いていた頃。大統領は、ベルギーの資本家と組んで傭兵のカリー大尉(ロッド・テイラー)を呼んだ。同行して来たのはコンゴ出身のルッフォ(ジム・ブラウン)。
目的は、約500キロ離れた場所で、反乱軍の襲撃に脅えながら孤立している白人たちの救出である。だが、実際は、その地に保管してある5千万ドル相当のダイヤモンドであった。金で動くプロを自称するカリーは、依頼を引き受ける。
期限は三日間。二人は早速、アル中の軍医リード(ケネス・モア)と元ナチスのヘンライン(ペーター・カルスティン)率いる現地精鋭部隊40名を引き入れ、客車と武装した貨車を牽引する機関車で出発する。
途中、救助を命じられた白人邸に向かうが、既に虐殺が行われた後であった。先行きに不安を感じる一行の前に、唯一、生き残ったクレア(イヴェト・ミミュー)が助けを求めて来た・・・
残虐性が際立つ異色の戦争アクション。
金で雇われる『傭兵』。古代ローマ時代から続く職業である。映画でも、史劇から、俗に言われる「外人部隊」モノまで、数多く作られたジャンルでもある。
情け容赦ないとか、金次第でどちらへも転ぶ、といった描かれ方をしたものも多い。
本作も一応、そのようなスタイルで始まる。しかし、アメリカ人である主役は兎に角、相棒は現地出身の人格者である。その他に、イギリス人、ドイツ人と多彩。
しかも現地反乱軍は、極悪非道な野蛮人であるという設定だ。解りやすい設定で、しかもダイヤが絡むとなると、敵は内にも外にもいるだろうなと想像に難くない。
それをどのような味付けで描いて行くのか。いきなり繰り広げられるのは、武装した機関車を反乱軍と誤認する国連軍戦闘機とのアクションである。
おやおや、定石通りの展開かと思っていると、ヒロインが登場する前後から、いきなり残虐性が際立つ進行へと変化する。
どこかサム・ペキンパー的バイオレンスを感じさせるが、出世作「ワイルドバンチ」(1969)の前年に作られた映画である。それでいて、イタリア製の単純な残虐性を狙ったアクションとも違う。
つまり、当時としてはかなり異質な戦争アクションなのである。
ストーリィも、ある程度、先読みは可能だが、二転三転して行く。
どのキャラクターが悪役であるのかは始めから描かれるので、後は、その悪役やサブキャラたちがどのような状況下に置かれていくのかという、ありがちな興味に集約されていくのは仕方ないとしても、それでも、かなりショッキングな展開が待ち受ける。
事実、以後、本作の影響を受けたと推察される作品が多く見受けられる。例えば「ワイルド・ギース」(1978)、「戦争の犬たち」(1980)などである。
思想や主義に関係なく「金」で動くプロフェッショナル。しかし、その中にも、人間としての感情があり、信じる価値観もある。
だから、どこかに人間としての「弱さ」と「脆さ」があると描かれる。
一応、納得できる着地点へ到達するラストであるが、それでも、人間のいびつさが、死に直面することにより、それぞれが、どのような最期を迎えようとするのかという、どこか感傷的な雰囲気を感じさせる哀愁が切ない。
そこに「男気」を感じた。