余談雑談 2009年2月14日

去年は沖縄以外、東京から出ない生活を送った。そのことが、日々、頭を支配し、漂泊願望が沸いていた。

で、暇潰しがてら調べてみて、行き着いたのが、群馬県のとある温泉にある一軒の旅館。

江戸時代建造の日本最古の湯宿建築という本館がありながら、平日は一泊二食付で5,250円。東京駅と温泉場を結ぶバスが往復で5,000円。これならいけると、早速予約し、行ってきた。

食事はそれなりだったが、文句は言うまい。宿泊したのは明治時代以降に建て増しされた木造の二階部分。隙間風がどこからともなく入るが、先人たちのぬくもりを感じる空間。新しい浴場もあるが、一番気に入ったのは、昭和五年建造の大正ロマンの残り香が漂う浴場。

平日だからか、ほぼ独占状態で満喫しながら、妙に感傷的になった。欧米だったら、歴史ある宿は一番高いだろうな、と。

だが、日本では、また違った側面を持つ。「和モダン」のティストを活かし、計算し尽くされた、いかにも高級感溢れるイメージで作り込まれた旅館が高いことが多い。

痛みやすく、不便な木造建築を維持し続ける努力より、合理的で利便性があり、衛生面も万全で、かつ耐震性のある建物に作り直す。

それが現代では、広い心での人に対する優しさなのだろう。だから、自分が泊まった宿は、歴史には関係なく、温泉街でも最安値で客を呼ぼうとしているのだろうか、と。

そんな宿屋のすぐ近く、寂れた歓楽街があった。その中で見つけた一軒のすし屋。

長くなるので、その話は、また来週。

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