肩のボルト除去手術のために、十日ほど入院してきた。
4ヶ月ぶりの再入院。看護師たちは皆、顔見知りでおや、もう戻ってきたの的対応。
今回は、抜くだけの手術なので30分程度で終了した模様。しかも、抜いたボルト3本をまるで記念品のように、綺麗に洗浄し、ビニール袋に入れてプレゼントしてくれた。
そして今回、とある自分の思い込みが発覚した。
それは『抜去(ばっきょ)』という言葉。自分は「ボルト除去」と思って使ってきたが、正確には「インプラント抜去」らしい。
ついでに、新しい言葉も覚えた。『抜鉤(ばっこう)』である。賢明なる読者はお解かりかと思うが、私たちが普通使う『抜糸(ばっし)』ということである。
確かに、針と糸で手術口を縫うのではなく、ホチキスのように「コの字型」の留め金で術口を閉じるのだ。
だから『抜糸』でなく『抜鉤』。確かに言葉としては正確だ。だが、どうにも人間らしい扱いではないとも感じた。しかし、時は流れ、今や、それが主流なのだとか。
ボルトが抜けて、やっとターミネーターから人間に戻ったと思ったのも束の間、今度はフランケンシュタインの怪物になった肩と、ボルト3本を交互に見つめて、とんだ夏休みだと複雑な心境になった。