撃墜王 アフリカの星 – DER STERN VON AFRIKA(1960年)

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スタッフ

監督: アルレート・ワイゼンマン
製作: エルゥイン・ギスト
脚本: ヘルベルト・ライネカー
撮影: ヘルムート・アシュレイ
音楽: ハンス・マルティン・マトニフスキー

キャスト

マルセイユ大尉 / ヨアヒム・ハンセン
ブリギッテ / マリアンネ・コッホ
フランケ少尉 / ハンスイェルク・フェルミ
ドロステ / ホルスト・フランク
ゾマー / ベーア・シュミット
タルゼンベルグ大尉 / カール・ランゲ
ヘイデンライヒ / ヴェルナー・ブルーンズ
ユーマイヤー少佐 / アレクサンダー・ケルスト
シュリーマン少佐 / アルバート・ヘーン

日本公開: 1960年
製作国: 西ドイツ ノイエ・エメルカ他 作品
配給: ヘラルド映画


あらすじとコメント

第二次大戦下での「パイロット」繋がりにしてみた。実在の英雄を題材にした珍しい、ドイツ製の戦争映画。

1939年ベルリン。空軍士官学校に、とある型破りな青年がいた。彼の名は、マルセイユ(ヨハヒム・ハンセン)。

射撃訓練などでは抜群の成績を残すが、離着陸のセオリーを無視した飛行や、訓練飛行中に目的地を見失い、高速道路に着陸して場所を確認するなど、前代未聞の行動を取り、退学寸前まで追込まれてしまう。

しかし、親友のフランケ少尉(ハンスイエルク・フェルミ)の計らいで、何とか残ることが出来た。

やがて、第二次大戦が勃発し、マルセイユらは北アフリカに配属されて・・・

158機の敵機を撃墜した実在の英雄を描く戦争映画。

やや不良がかっているが、抜群の闘争本能と操縦技術を持ち、気の置けない仲間たちがいる青臭さを併せ持つ若者。

そんな彼が実戦で、次々と功績を挙げ、ドイツの英雄となっていく。

しかし、時は戦時中である。当然、常に『死』が付きまとう。実際に、何人も同僚である青年たちが死んで行き、明日は我が身かも知れぬと思うが、決して誰も口にはださない。

そんな中で、強運も味方し、敵機撃墜の記録を塗り変えていく主人公。

本国では戦意高揚の好材料として持ち上げられ、遂にはヒトラー総統から直接、勲章を授与されるほどの人気者となる。

ところが、中盤、勲章授与のために、ベルリンへ戻るあたりから、趣がガラリと変わる。

出身校で講演をした際に、臨時の女教師と知り合い、運命的な恋に落ち、やがて風光明媚なイタリア、スペインと「恋の逃避行」を繰広げていくという、まるで、ラブ・ロマンス映画のような展開になるのだ。

しかし、常に二人には『死』の影がついて回る。

戦時下で、明日をも知れぬ22歳の青年が普通に感じるであろう感情の起伏と、最愛の男を死なせたくないと願う数学教師の女。その二人はどんな決断を下していくのか。

記録映画を併用した戦闘場面が、実に淡々と描かれる。その一方で、戦争に関係なくアフリカの大砂漠、イタリアの町や、のどかな田舎の風景が拡がる。戦争映画と青春ロマンス映画を兼ね備えた展開。

何とも不思議な感覚に陥った。そして、その不可思議な感慨を一層、際立たせる、およそ戦争映画とは思えない、哀愁を帯びたボレロ調のテーマ曲。

夕焼けに拡がる戦場を背景に、その主題曲が流れるオープニングから、砂漠での宿舎であるキャンプ、更には逃避行を繰広げるイタリア等と、アレンジされ、流れ続ける。

そして、そのテーマ曲が流れるたびに、こちらの胸に不思議な感覚が増幅されていくのだ。

敗戦国であるがゆえに、本国には一機も現存していなかった、主人公が自在に操るメッサーシュミット戦闘機。だが、幸いにもスペインに現存していたのである。ただし、エンジンは別のものが搭載されているのだが。

本作は、スペイン空軍協力の元に作られた。ゆえに、当時の名戦闘機と呼ばれたメッサーシュミットの他、ハインケル機などの実機が登場する数少ない映画である。

青春と戦争。敗戦国ゆえの葛藤を感じる、独特の雰囲気を持った作品。

余談雑談 2010年2月6日
この前の晩のこと。 上野で用を済ませ、アメ横近くを歩いていたら、ふと、とある酒場が目についた。 妙に『昭和レトロ』を意識した店なので、違和感があったのだが、値段の安さに釣られて入ってみた。 先客は、何やら訳知り顔の中年男と若い男。スーツ姿で