スタッフ
監督: エドワード・ドミトリク
製作: ディーノ・デ・ラウレンティス
脚本: H・A・L・クレイグ
撮影: ジゼッペ・ロットゥンノ
音楽: リズ・オルトラーニ
キャスト
エニス / ロバート・ミッチャム
ラビノフ伍長 / ピーター・フォーク
スティムラー軍曹 / アール・ホリマン
リチャードソン / マーク・ダモン
レスリー将軍 / アーサー・ケネディ
ムーヴィー / レニ・サントーニ
チェッリーニ / ジャンカルロ・ジャンニーニ
マーシュ将軍 / アンソニー・スティール
カーソン将軍 / ロバート・ライアン
日本公開: 1968年
製作国: アメリカ ラウレンティス・プロ作品
配給: コロンビア
あらすじとコメント
今回も第二次大戦下のイタリアに上陸した米軍を扱った映画にしてみた。兵士たちの葛藤を描きながらも、アクションに重点を置いた娯楽的要素が強い作品。
1944年イタリア。ナポリとローマの間にあるティレニア海に面した港町、アンツィオ。
1月22日未明、そこにアメリカ軍が上陸を敢行した。その中に従軍特派員エニス(ロバート・ミッチャム)の姿もあった。しかし、予想に反して、ドイツ軍による反撃が一切なく、拍子抜けする兵士たち。そして街部に入っても、敵の姿は一切なかった。不思議に思ったエニスはジープを借りると北上し、65キロほど先のローマを目指した。
すると、一切の抵抗もなくローマ入城を果たしてしまう。戻ったエニスはそのことをレスリー将軍(アーサー・ケネディ)に報告するが、将軍は、これは間違いなく敵の罠だと言い張った・・・
メリハリの効いた展開を見せる娯楽戦争映画。
当時、ナポリ以南に上陸した連合軍は、北上を試みたが、モンテ・カッシノでドイツ軍の猛烈な抵抗に逢い、釘付け状態だった。それを打破するべく、今度はナポリより北へ上陸した。つまり、本作はある程度、事実に材を取っている。
その上、ドイツ軍の反撃を受けなかったのも事実である。それは偶然、ドイツがモンテ・カッシノに総力を挙げていたため、その北部にあるアンツィオはエア・ポケット状態だったのだ。
ただ、事実は悪天候で、物資の陸揚げが大幅に遅れたのが原因だが、本作では上層部が友軍の犠牲を最小限にするため、万難を配するまで進撃しないという安全策を講じた結果、敵に増強の時間を与えたという設定に変更されている。
更に、歴史的事実としては、ドイツ軍のケッセルリンク将軍も相当の切れ者で、陸揚げが遅れていたアメリカ軍に対し、態勢を整え、1月から5月まで連合軍を完全に足止めにした。
そういった事実を上手く取り入れ、虚実入り混ぜた設定に変えてある。
冒頭は、おかしなキャラの脇役たちの登場や、主役が一気にローマまで行くという、どこかユーモラスな展開だが、反撃に遭ってから、進行がガラリと変わる。
進軍が遅れたため、主役たちの部隊が敵の猛反撃に遭って窮地に陥り、更に撤退中に敵の秘密基地を発見したりと、実に、次から次へとハラハラ・ドキドキの展開が待ち受ける。
前門の戦車、後門の地雷原やら、情報収集のための秘密基地潜入や、タコツボでの見えざる敵との対決など、その都度、絶妙に緩急の付いた場面が連続しサスペンスを盛り上げる。
当然、主人公は記者なので、銃は持たないという設定である。しかし、仲間の戦死者も続出していく中で、自身も窮地に陥り、その主義を通せるか、といったドラマも平行していく。
役者の中では、個性的な下士官を演じるピーター・フォークが絶品。完全に他を喰っていて好演である。ドミトリク演出も、娯楽作品の要素を上手く捌き、手に汗握る。
いささかサービス精神旺盛すぎるという欲張った感もあるが、それでも、面白さが数珠繋ぎという、良く出来た戦争アクション作。