スタッフ
監督: エドワード・ドミトリク
製作: アル・リヒトマン
脚本: エドワード・アンホルト
撮影: ジョー・マクドナルド
音楽: ヒューゴ・フリードホッファ
キャスト
ディーストル中尉 / マーロン・ブランド
アッカーマン / モンゴメリー・クリフト
ホイティカー / ディーン・マーティン
ホープ / ホープ・ラング
マーガレット / バーバラ・ラッシュ
グレッチェン / メイ・ブリット
ハーデンブルグ大尉 / マクシミリアン・シェル
シモーヌ / ドラ・ドール
リケット軍曹 / リー・ヴァン・クリーフ
日本公開: 1958年
製作国: アメリカ 20世紀フォックス作品
配給: 20世紀フォックス
あらすじとコメント
前回の「アンツィオ大作戦」の監督エドワード・ドミトリクが作った同じく第二次大戦を舞台にした作品。ただ し、戦争映画というよりも米独の兵士になる青年たちの葛藤を描く異色大作。
1939年オーストリア。ドイツ人でスキー・コーチをしていたディーストル(マーロン・ブランド)は、アメリカから来ていたマーガレット(バーバラ・ラッシュ)と知合うが、彼女はディーストルがナチス信奉者と知り、失望して帰国した。
やがて、第二次大戦が始まり、フランスが降伏したパリに、出征し中尉になったディーストルの姿があった。
一方、アメリカもいよいよ参戦という雲行きになり、徴兵検査が行われていた。そんな中で、ブロードウェイの人気歌手で、マーガレットの恋人でもあるホイティカー(ディーン・マーティン)は、身寄りのないユダヤ人アッカーマン(モンゴメリー・クリフト)と知り合って・・・
戦争に翻弄されていく人間たちを追う大河ドラマ。
メインとなるのは、ナチスの台頭から、没落までを体感していく主人公。それとはまったく別次元で、アメリカ人の二人が描かれる。
そして、それぞれに女性が絡んで、更なるストーリィが生まれていくという展開。なので、上映時間は3時間近い。
主人公のドイツ青年が、パリ入城から北アフリカ、ベルリン、ドイツ国境ヘと、都度、祖国が徐々に崩壊していく姿に立ち会っていくことになる。
しかし、遅れて参戦したアメリカでも、アメリカ人二人が兵役での試練が待ち受ける。しかも、ユダヤ青年には、軍隊内での純然たる差別やイジメが待ち受ける。
第二次大戦では、ナチス・ドイツによるユダヤ人の大量虐殺が有名であるが、アメリカ国内にも、虐殺とまでは行かないが同じようなことが存在していたと綴っていくのだ。
しかし、彼は負けない。それは、家族もなく、自分の信念でしか、どの道生きていけないと悟っているからだ。そして、そんな彼にも理解者が現れていく。
そこいらの展開が、いかにもアメリカは自由の国家であり、正義は必ず勝利して行くという『正当性』が強調される。
一方で、ユダヤ青年の相棒である歌手は、厭戦気分一杯で、自分を臆病者とせせら笑い、死ぬのは嫌だと後方勤務を希望する。しかし、彼とて葛藤はあるという展開。
また、厭戦気分な人間はドイツ軍にもいるし、祖国の為と称しながら、自分の見栄を強調していく上流階級の上官という複雑な人間も登場してくる。
更には、それぞれの妻や、祖国を蹂躙されたフランスの女性なども登場してきて、戦争が、いかに人間たちの人生を狂わせて行くのかという一大叙事詩として進行する。
人間ドラマがメインであるがゆえに、数少ない戦闘場面の派手さとのバランスに砕身した感じはする。
ただ、やはりアメリカは正義であり、中でもユダヤの人間は、どのような状況下でも、誇り高く、当時、イスラエルという自分たちの国家と国土を持っていなかったが、如何にアメリカに貢献したかという、ナチス同等か、それ以上の「プロガパンダ」を強烈に感じる大作でもある。