スタッフ
監督: ジョン・ギラーミン
製作: デヴィッド・L・ウォルパー
脚本: セオドア・ストラウス、W・ロバーツ、R・リグビー
撮影: スタンリー・コルテツ
音楽: エルマー・バーンスタイン
キャスト
ハートマン中尉 / ジョージ・シーガル
フォン・クルーガー少佐 / ロベート・ヴォーン
アンジェロ軍曹 / ベン・ギャザラ
バーンズ少佐 / ブラッドフォード・ディルマン
ジェリコ伍長 / マット・クラーク
シンナー准将 / E・G・マーシャル
シュミット大尉 / ハンス・クリスチャン・ブレヒ
バウマン大尉 / ヨハヒム・ハンセン
ホルツガング / ハインツ・レインケ
日本公開: 1970年
製作国: アメリカ D・L・ウォルパー・プロ作品
配給: ユナイト
あらすじとコメント
アメリカ軍と、敵であるドイツ軍双方に重点を置く作劇の戦争映画でつなげてみた。ただし、ドラマより、スペクタクル溢れる戦闘シーンが良く出来た大作。
1945年5月ドイツ。ドイツの敗北は決定的となり、ベルリンへ向けて破竹の進撃を続けるアメリカ軍に対して、ドイツはライン川の橋を次々と爆破していった。そして最後にレマゲンに架かる「ルーデンドルフ鉄橋」だけが残っていた。
司令部は即座にその橋を爆破せよと命じるが、責任者であるフォン・ブロック将軍(ピーター・ヴァン・アイク)は、ヨーロッパに散らばる5万のドイツ兵の唯一の退路でもあったので、ギリギリまで爆破延期を決定し、現地指揮官にフォン・クルーガー少佐(ロバート・ヴォーン)を派遣させた。
一方のアメリカ軍は、功を焦る上官の思惑から、疲労困憊のハートマン中尉(ジョージ・シーガル)率いる中隊に橋の確保を命じたが・・・
良く出来た戦争アクション大作。
既に雌雄は決していた時期。この橋の存亡が、首都ベルリン攻防の時期を決めるのである。それを視野に入れ、なり振り構わず兵士たちを犠牲にする米独双方の上層部。
敵は味方にもいるという明快な展開。そのために本作は、双方の将校や兵士たちを同等に、加害者でありながら、被害者でもある、という作劇で進行する。
更に解り易く描かれるのは、アメリカ側に厭戦気分が蔓延していて、死体から物品を掠奪したり、上官に向って好き勝手なことを言うという、ある意味、極限状態下での『自由勝手さ』が、平然と行われている点。
方や、ドイツ軍は真面目さと慈愛があるという設定である。ただし、敗戦が確定していると悟っている姿が切ない。
そういう対比を際立たせながら、たったひとつ残る橋に、双方が命を賭すスペクタクル溢れる戦闘シーンが挿入されていく。
ただ、バランスとしては、冒頭での川を挟んで疾走する戦車軍団と対岸に並ぶ大砲との撃ち合いや、本当の街を徹底的に破壊するという戦闘場面が勝りすぎて、人間ドラマ部分が弱くなっている感は否めない。
それでも、派手さこそないが、役者陣も実力派が参集しているので、ある程度、画面には登場しないバック・ヤード部分を想起させてくれるのが救いである。
役者の中では、何といってもドイツ軍の守備隊長を演じるロバート・ヴォーンの格好良さが際立つ。
しかし、アメリカ側主役のジョージ・シーガルの厭戦気分に満ちた、やる気なさげな隊長や、ふてぶてしいイタリア系下士官のベン・ギャザラのタフさ振りも忘れ難い。
中でも個人的に一番、印象に残ったのは、元々の橋の守備隊長であり、戦前は地元小学校の校長役を演じたハンス・クリスチャン・ブレヒ。
彼は「バルジ大作戦」(1965)や本作など、アメリカ製の戦争映画では、『悪役ではない』人情派ドイツ兵士を演じているという印象が強い。ただ、ドイツでは有名な実力派であったが、日本では、その姿をあまり見られない名優なので残念なのだが。
エルマー・バーンスタインによる、いかにも彼らしい壮大なテーマ曲も、昨今では、バラエティ番組に好んで使われ、その違和感に思わず本作を見直したくなるという、個人的には妙に、サブリミナル効果がある作品。