スタッフ
監督:レス・メイフィールド
製作:トビー・ジャス、ニール・H・モリッツ
脚本:マイケル・ベリー、ジョン・ブルメンタール、S・カーペンター
撮影:デヴィッド・エグビー
音楽:エドワード・シャムール
キャスト
マイルズ / マーティン・ローレンス
カールソン / ルーク・ウィルソン
ディーゴン / ピーター・グリーン
メリッサ / ニコール・アリ・パーカー
タリー / デイヴ・チャッペル
リッツオ / グラハム・ベッケル
グレンフィディシュ / ロバート・ミランダ
ベニー / サヴェリオ・グェラ
ジャニース / タマラ・ジョーンズ
日本公開: 2000年
製作国: アメリカ コロンビア作品
配給: ソニー・ピクチャーズ
あらすじとコメント
前回の「ホット・ロック」が元ネタと思われるわりと最近の作品。今回もダイヤと警察署が絡むコメディ。
アメリカ、ロサンゼルス。泥棒のマイルズ(マーティン・ローレンス)は、仲間三人と2千万ドルのダイヤ『ブルー・ストリーク』を盗むべく、計画を実行した。しかし、仲間のディーコン(ピーター・グリーン)が、ダイヤの独り占めを狙って仲間を殺してしまう。
時を同じくして、仲間が運転する不審車を見つけた警察が駆けつけてきた。慌てたマイルズは、ディーコンの銃撃をかわしつつ、必死に建築中の建物に逃げ込んだ。仲間に襲われ、警察も近づく中、彼は咄嗟に配管用パイプの中にダイヤを隠し、何とか逃げようとするが、結局、警察に捕まってしまう。
2年後。刑期を終え、釈放されたマイルズは何喰わぬ顔で隠し場所へ向かう。ところが、当時建築中だった建物は何とロス市警37分署になっていた。慌てるマイルズ。当然、簡単にあきらめられるはずもなく、何とか侵入しようとするが、そこは天敵の警察署。一度はあきらめるが、すぐに宅配ピザ屋に変装して入ろうと画策。しかし、今度は厳重な入館警備システムのため、目的の配管場所まで入れないことが判明。
そんな彼はある妙案を考え付く・・・
トボケた泥棒が何とかダイヤを盗み返そうとするコメディ。
当初の設定は、間違いなく「ホット・ロック」からアイデアを頂戴しているなと感じた。
すると、どこかで見た刑事モノの設定が次々とでてくる。冒頭、ダイヤ強盗をしている主人公たちの犯行に警察が気付くのは、銀行前に停車している不審車を見つけたことから。パトロール警官のひとりが、窓が開いた運転席の下に吸殻がたくさん落ちているのを発見し、仲間がでてくるのを待っているな、と気付くのは「ダーティ・ハリー」(1971)。次に、裏切った仲間に射殺された仲間がビルから落下しパトカーの上にドスンと落ちる。おやおや「ダイ・ハード」(1988)か。
なるほどこの手を見るのはアクション系刑事ドラマが好きな観客だろうと想定しているのかと笑ってしまった。
ストーリィとしては、何とかダイヤを盗みだそうとして、次に彼が考え付くのは刑事になること。これなら署内に入れる、と。当然、警察試験を受けてなどと悠長なことは考えず、偽のバッジと異動命令書を作成し、エリート刑事に成りすます。そんな簡単に行くわけはない。その通りだ。だが、そこがコメディ。
さて、次はどんな手で来るのかと思っていると、今度は若いがどこか間抜けな相棒と、彼を本当のエリートだと買いかぶるヴェテラン上司が登場。「ビバリーヒルズ・コップ」(1984)のパクリで来たなと思った。確かに宅配ピザ屋に変装したり、黒人でとぼけた主役の設定は、間違いなくエディー・マーフィをイメージさせる。
昨今の映画界はオリジナルのネタ切れといわれて久しいが、まさに本作もそのようだ。ただ、面白いのは、ニセ刑事になってからの展開。
主役は犯罪者。だから捜査に出向くと相手の犯罪人としての心理が良くわかり、あっという間に事件解決。ここいらの設定には爆笑した。
その後、謎の刑事として署内で一目置かれるが、当然、隠したダイヤを盗みだしたい。しかし、そうは簡単に行かないから映画になるのだ。あれよあれよと難題が起き、大きな犯罪捜査まで扱わなくてはいけなくなる。このあたりのテンポはとてもよろしい。
ただ、ラストは合否が分かれるだろう。物語や設定の整合性に目をつむり、楽しんできた観客の気持ちを試すような感覚に陥った。
個人的にはラストでの登場人物数人のキャラクターの豹変振りが気になった。冒頭から見続けて、どうしたらそんなに変われるのか合点がいかなかったのだ。
ノー天気に見れば面白いだろうし、そこまではナシだろうと思うか。このあたりに昨今のハリウッド映画の限界というか、今風のやや豪腕な予定調和を感じた。
まあ、笑えるギャグも多いし、音楽はノリノリで楽しいし、敢えて批評めいたことは言うまい。