フレンチ・コネクション2 – FRENCH CONNECTION 2(1975年)

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スタッフ

監督:ジョン・フランケンハイマー
製作:ロバート・L・ローゼン
脚本:アレキサンダー・ジェイコブス、
ロバート&ローリー・ディロン
撮影:クロード・ルノワール
音楽:ドン・エリス

キャスト

ドイル / ジーン・ハックマン
シャルニエ / フェルナンド・レイ
バーテルミー / ベルナール・フレッソン
ラオール / ジャン・ピエール・カスタルディ
ミレット / シャルル・ミロ
老婆 / キャスリーン・ネスビット
ジャック / フィリップ・レオタール
ジェネヴォア警部 / ジャック・ディーナム

日本公開: 1975年
製作国: アメリカ 20世紀フォックス作品
配給: 20世紀フォックス


あらすじとコメント

今回はヒーロー的刑事モノ。『お不潔ハリー』か、こちらかと迷った。で、これにした。しかも、いきなり「パート2」。

NY市警の刑事ドイル(ジーン・ハックマン)は、東海岸で密売されるヘロインの大半が、フランスのマルセイユ港を経由する船舶で持ち込まれることを知った。それが「フレンチ・コネクション」である。そして史上空前のヘロイン押収に成功したが、首謀者のシャルニエ(フェルナンド・レイ)の逮捕に失敗。

そんな彼がシャルニエを逮捕すべくマルセイユに渡った。捜査協力を依頼したのはマルセイユ警察のバーテルミー警部(ベルナール・フレッソン)。しかし、ドイルは無骨なヤンキー男で、ヘロイン密売の拠点を捜査に行ったバーテルミーたちに同行し、地元警察の都合などお構いなしに強引な捜査をして大騒ぎを起こす。迷惑がられても平然と独自のやり方を通すドイル。

しかし、彼は訪仏を知ったシャルニエに拉致され、汚い安宿に監禁されてしまう。

そこでドイルは毎日ヘロインを射たれて続けて・・・

豪腕なアメリカの刑事が異国で大騒ぎを起こす刑事ドラマの佳作。

敢えて、前作の「フレンチ・コネクション」(1971)にしなかったのには訳がある。映画好きなら、パート1は見ていると思ったし、当時、第一作を超える作品は皆無だった中で、本作だけは甲乙付けがたく良く出来ていると感じたから。

監督がご贔屓のジョン・フランケンハイマーだからというのもあるが、わざと違うタッチにした作劇に吸い込まれたのだ。

第一作で確立された強烈な主役のキャラクターをどう反映させるのか。しかも、前作でアカデミー主演男優賞を獲得した役者をそのまま起用するのだ。

今回は、面白いことにアカデミー主演賞を獲りやすい設定に近づくというセオリーを適用した。

それは中毒患者を演じさせること。苦痛にもがき苦しむ様を熱演すると俳優としての評価が上がる。その手の演技で受賞したのは「失われた週末」(1945)のレイ・ミランド、「リービング・ラスベガス」(1995)のニコラス・ケイジ。

ノミネートされたのは「黄金の腕」(1956)のフランク・シナトラ、「酒とバラの日々」(1962)のジャック・レモンなど、実に多い。

それをオスカーを獲得した直後に演じさせる。中々面白いことをさせたなと当時感じたものだ。主役のハックマンも前作同様、実に、楽しげにタフなヤンキー刑事を熱演している。前作を見ていれば、彼のキャラクターが破綻していなく、継続していると感じることができる。しかもその中毒患者になってからのシーンは失笑を漏らすほど面白い。

服装からして、潰れたパイのような帽子をかぶり、冴えない地味なスーツにアロハ・シャツを着ているという、いかにも田舎のアメリカ人丸だしで、瞬間湯沸し器型にして強引。気配りなどできようはずもなく超ワンマン。すぐに銃はぶっ放すし、ガソリンをかけてホテルを燃やす。

そういった前作に輪をかけた主人公に、本作で重きを置いたのは、肉体芸。つまり、ジャンキーの苦しみや、ラストで延々とマルセイユの街なかを走らせるという手法。前作では高架線を走る地下鉄を車で追うシーンが白眉だったが、今回は己の体力と勘を賭けての全力疾走だ。

ここにフランケンハイマーの意地を見た。前作が新人監督ウィリアム・フリードキンのどちらかというと、どこかアメリカン・ニュー・シネマを感じさせる作劇だったが、今回は敢えてオーソドックスな手法を用い、力で押してくるという印象を受けた。決して前作がつまらないと言っているのではない。同じキャラクターなのに全然違う作り方をしていることに興味がわいたのだ。

余談だが、両作ともDVDが発売されており、TV放映時の吹替え版が収録されている。主役のハックマンは「刑事コロンボ」のピーター・フォークでお馴染みの小池朝雄。これは理解できる。悪役のフェルナンド・レイもこれぞ適役の大平透。

しかし、第一作で相棒を演じたロイ・シャイダーと本作の相棒ベルナール・フレッソンが同じ羽佐間道夫。これには混乱した。全くイメージの違う役者を同じ声優がアテる。確かに、当時は困ったときの羽佐間道夫と言われていたので、アリだとは思うが、同一シリーズの違う役者は、どうかなと感じた。主役と敵役が同じ声優なだけに一層混乱した。

決して羽佐間道夫がいけないといっているのではない。実に様々な声を使い分けるので大好きだ。ちなみに現在は困ったときの山寺宏一といわれている。字幕版で見れば何の問題もない。

作劇法の違いで、両作を見比べると観客としての嗜好が理解できる好材料の作品。

余談雑談 2008年2月9日
前回は、突然の別な日の発行に驚いただろうか。いつもと違うことをした。 とはいっても、最終チェックして配信欄へ移行する際、間違って送信しただけなのだが。 で、今回はいつも通りの発行。 ここでひとつ、読者の皆さんにお尋きしたい。週に二回も読むの