余談雑談 2023年4月15日

会津から奥日光への旅。第一夜は仲間らとの焼肉屋で肉三昧の夕餉。

場所柄、馬は有名だ。その「馬」にもカルビや上カルビがあり、内臓系もメニューに。当然「牛」も部位が多くあり、更には「羊」。特に馬は火を通し過ぎると固くなるので、あぶる程度でどうぞと教えてくれる。

良い歳をした4人組が、次から次へと久々に肉でお腹いっぱいにした。やはりこういう宴は一人や二人じゃ物足りぬ。

翌日は、ひたすら下道で南下。のどかな田園風景から森林地帯へと走る。起伏は意識しなかったが山を登った感覚はなく、栃木県方面に近付くと山の中腹あたりから、川やダムを見下ろしたので驚いた。猪苗代湖ってかなりの標高にあったんだ。

昼前に目的地へ到着し、皆が大好きな熊鍋。調理法にもかかっているが、何度もリピートしたくなる味。予報は天気が崩れるとのことだったが晴天。それだけで気分も上がる。

マタギの旦那さんは休みで女将さんひとりで対応してくれた。やはりネットの威力は、ここにも及んでいて電話で「ランチで熊鍋予約したい」と来て、驚いたんだと。以前に来店したことはなく、いきなり調べての連絡だったと。

丁重にお断りしたとか。やはり数あるものではないので、いきなり知らない人に興味があると言われても怖いと。他にもおススメがあると言ってみたけど、それだけで結構という返答。何だか、良い印象じゃなくてね。

地方の心優しい人の感情には、合理的とか失礼がないように自分の要求のみを依頼できるタイプはまだまだ苦手なのかもと感じた。「コスパ」やら「タイパ」とか。

楽しく料理を満喫し、定宿に入る。夕食はいつも通り囲炉裏端で楽しむ。湯も良く、熊鍋も宿もお気に入りで満足。

そして翌朝。車の持ち主が6時過ぎに部屋にやって来た。最初、襖をノックする音が聞こえたような気もしたが、気の所為かと無視した。そうしたら携帯に着信。

「外をご覧になりましかたか」。カーテンを開けると外は一面の銀世界。絶句した。確かに昨日の天気予報は「みぞれ」マーク。しかし、何の裏付けもなく大したことないと多寡を括っていた。

完全なる積雪で10センチ以上は積もっているし、雪が止む気配はない。

同行の車主の奥さんが翌日の仕事は絶対に休めないので、どうしても今日中に帰京しなければいけないと仰る。なので、列車予約をしようと調べているが、駅までのバスは定時運行するのかと。

宿の女将さんに尋いてみないと、と返答したが、流石にまだ早い。すると、そこで相談なんですがねと続けて来た。奥さんは何とか帰京してもらうが、溶けるまではタイヤはノーマルなので運転は無理です。で、もう一泊しませんか。

内心、待ってましたと心で小躍りした。もう一人に尋くと大丈夫との答え。奥様には申し訳ないが、こちらとしては災い転じて福となす的展開じゃないですか。

フロントまで行くと既に女将さんがいた。事の次第を話すと、バスは間違いなく定時運行。でもね、道を車が通れば轍が出来て通れるし、この雪はどの道昼過ぎには溶けるわよ、だと。止む気配はまったくないですぜ。

もしもの時は三名でもう一泊可能ですか。だが、こちらの望む言葉を返してこない。この時期の雪は晴ればあっという間になくなるし、溶ける午後まで居て良いわよ。おいおい何とか延泊阻止の雰囲気だ。

仲間もいるしと少しだけ焦る。何故だ、こちらでは特権階級的常連じゃないのか。でも、思い出した。かつて温泉療養的に長居は出来ぬかと尋いたら、週末だけの営業だからと言っていたっけ。そうか、宿泊者用の食事の用意はしてないんだ。

その旨と推察を仲間に言うと、じゃ待とうと。バスだって本数が減って、早い便はないし湯に浸かろうかねと。流石の仲間だ。

そうしたらどうだ。宿の女将さんの言う通り、チェックアウト前に雪は上がり春を感じさせる晴天へと変貌。敷地内の枝に積もった雪は瞬く間にポタポタと落ち始め、一部はドサッと枝を揺らしながら落ちて行く。下から、しだれ桜の綺麗な色が顔を覗かせた。白一色から鮮やかな色に変わる瞬間。

急激な天気の変化は心も弾ませた。人生も瞬時に晴れになれば良いのにと思いながら仲間内で、流石の女将さんと微笑んだ。

結果、列車で先に帰らずに残った車主夫人も一緒に昼前に宿を後にして道を下ると、熊鍋を扱うメインストリート付近はとっくに雪などない。そんな標高差はないはず。もしかしてあちらほど降ってなかったの。

どうせだと、そこに立ち寄る。店の女将さんさんが、雪だから電話しようかと思ったのよと。妙に嬉しい。

何だ、持っているな俺様。と自惚れたが、仲間たちかもしれぬ。

どの道、楽しい旅になった次第。持つべきものは仲間と身内的な店や宿。そして、誰かしらの運の強さと地元住人の確固たる経験値もね、と実感した旅。

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