スタッフ
監督:リチャード・・サラフィアン
製作:ロドニー・カー・スミス
脚本:ロドニー・カー・スミス、スー・グラフトン
撮影:フィリップ・ラズロップ
音楽:フレッド・マイロー
キャスト
フェザー / ロッド・スタイガー
ガットシャル / ロバート・ライアン
ルーニー / シーズン・ヒューブリー
ザック / ジェフ・ブリッジス
スラッシュ / スコット・ウィルソン
ホーク / エド・ローター
フィンチ / ランディ・クェイド
ピラム / ポール・コスロ
セブ / ゲーリー・ビューシイ
日本公開: 1973年
製作国: アメリカ ロドニーカー&スミス・プロ作品
配給: MGM
あらすじとコメント
個性的というか、かなりクセのある俳優ロッド・スタイガーで続ける。いかにも田舎で起こりがちな無教養な人間たちが織り成すアメリカの暗部をえぐるドラマ。
アメリカ、テネシー
乗り継ぎのために田舎の停留所でバスを待っていたルーニー(シーズン・ヒューブリー)は、オンボロトラックでやって来た二人の若者に、いきなり拉致されてしまう。連れていかれたのは若者らの自宅。家長フェザー(ロッド・スタイガー)らが待ち構えていて「お前がロリ・マドンナだな」と確信的に言った。何のことか意味不明で狼狽するルーニー。
実は諍いの絶えない隣家ガットシャル(ロバート・ライアン)一家の息子たちが仕組んだ、ある意味、悪戯であった。要は存在しない女性が兄弟と結婚するためにやってくると嘘の手紙を相手側のポストに入れ、バス停に行っている間に盗まれた自分らの豚を取り返す作戦だった。
まんまと引っ掛かったフェザー家だが、実際にバス停に少女がいたことから本気にしてしまい、彼女をダシに有利な条件で自分らが、かつて所有していた牧草地を取り返そうと考えて・・・
解消されないアメリカの暗部を嫌なティストで描く人間ドラマ。
高原地帯で隣接して住む二組の家族。双方とも大家族である。
その二家族共が相手側に不満を持ち、鬱憤が溜まっている。
隣同士は国でも仲が悪いところが多いと言われているが、まさにその縮図といえよう。しかも、恐ろしいのは双方とも、同レベルでありながら自分らの方が格上と思い上がっていること。
しかし、観客にはそうは見えない。「どんぐりの背比べ」である。というよりも恐らくは父親を含め、子供たち全員が学校教育を受けていなさそうというレベル。
良く言えば「フロンティア・スピリッツ(開拓者魂)」の継承者たち。噂話を完全に信用したり、見栄を張り、自分の優勢を醸すためにヘンな言葉使いで相手を威圧しようとする。
脈々と続く広大な土地アメリカの辺鄙な場所でしか住んだことがない人々。片方の一人の息子だけ結婚経験があるが、現在は独身。それが家族全体に暗い影を落としている。
「ロミオとジュリエット」ばりに双方で意識し合っている子供たちもいるが、それ以外、双方の子供たちは恋人すらいたことがないようなタイプばかり。要は単純で知的発想は完全に不可能な家族たち。
税金滞納で取り上げられ、それを入札したのが隣家だったことが諍いの発端。つまり、昔は俺の土地だったのを人の足元を見て奪ったと思い込んでいる。そこに滞納した自分の責任は微塵も感じていない。
双方が双方とも利己主義の塊であり、何かに付け、平気で銃で解決しようとする。
それが1970年代でも平然と行われる恐怖。無学で粗野な人間たちが一度起きた火は消せないとばかりにエスカレートして行き、信じがたい絶望へと転落していく様は、これぞアメリカのリアルな一部であると鳥肌が立つドラマ。
当然、後味は良くない。