スタッフ
監督:コリン・ヒギンズ
製作:トーマス・L・ミラー、E・K・ミルキス、R・L・ボエット
脚本:ラリー・L・キング、P・マスターソン、コリン・ヒギンズ
撮影:ウィリアム・A・フレイカー
音楽:パトリック・ウィリアムズ
キャスト
モナ / ドリー・パートン
ドッド / バート・レイノルズ
知事 / チャールス・ダニング
メルヴィン / ドム・デルイース
フレッド / ジム・ネイバース
ダルシー / ロイス・ネトルトン
エドセル / ノア・ビアリー Jr
ジュエル / テレサ・メリット
ウィングウッド議員 / ロバート・マンタン
日本公開: 未公開
製作国: アメリカ RKOピクチャーズ作品
配給: なし
あらすじとコメント
前回の「キャット・ダンシング」(1973)の主役バート・レイノルズ。当時、全米のセックス・シンボルと呼ばれた。そんな彼が主演した異色のミュージカルを扱う。何と売春宿を舞台にしたコメディ系。
アメリカ、テキサス
田舎町に長年、何故か男性のみならず地元民からも愛されてきた売春宿があった。宿主モナ(ドリー・パートン)は心優しく進んで税金を払い、快く多額の寄付までする女傑。恋人はストレートな感情の持ち主で保安官であるドッド(バート・レイノルズ)。
ところが人気TV番組のMCメルヴィン(ドム・デルイース)が、『正義の番犬』と称して売春宿摘発キャンペーンをすると突撃取材を敢行してきた。
しかしドッドはそんなことには屈せず、昔ながらの「威圧的威嚇」で対応したものだから・・・
売春宿を舞台にした何とも不思議なミュージカル。
素朴な田舎町。合法ではない売春だが、そこは昔からの慣習であり、事件や犯罪の温床であったり、助長もさせない『至極真っ当』な存在で町の女性たちも容認してきた歴史がある。
ただし、そこからして時代錯誤ではある。とはいえ、そこが大らかで広い大地が拡がる南部地域なのだろうか。
進歩的ではなく保守というよりも情報の不足で、狭いコミュニティの中で生活を全うしていく人たち。ゆえに本来は敵対関係のはずの売春宿の女亭主と保安官が恋人だったりする。
だからかコメディという設定と展開。元々はブロードウェイでヒットした「カントリー&ウエスタン調」ミュージカルである。
確かに楽しい楽曲と群舞はいくつも登場してくる。だが、そこに正義の公器と自惚れるTVが平然と蹂躙するように乗り込んで来て、間違いを正すのが正義であり異を唱える奴は公序良俗を乱すアウトローで、無視すれば単純に理解能力が欠如した野蛮人とばかり、分かりやすく地域に乱入してくる。
当然、そんな奴らだって「真っ当ではない」と描いてはくる。知事に至っては支持率に関わる数字ばかりを気にして、なるべく問題から目を逸らそうとする日和見主義者として描かれる。
そこいらは時代と共に、TVから個人系迷惑発信者、政治系は腹の坐ったそれなりの人物が激減したので「成程いるよね」というよりも、今の方がもっと笑えない状況かと複雑になるかもしれぬ。
ある意味で社会派ミュージカルでもあるが、ヒロインのドリー・パートンは「カントリーの女王」と呼ばれたので当然ながら、レイノルズも、知事役のチャールス・ダニングも苦笑を禁じ得ないを承知で歌い踊るのだから、そこはゴキゲン。
舞台が売春宿なのでセクシーな衣装で色っぽい女性たちの群舞が登場したりするが、サービス・カットなのかフルヌードで駆けずり回る場面は異彩を放ち、余計な気がした。
確かにコメディ調ミュージカルとはいえども、カントリー音楽がメインでこの内容だと日本では劇場未公開に成りざるを得ないとも感じはするが、実はそこそこお気に入りの作品ではある。