家族にサルーテ!イスキア島は大騒動 -A CASA TUTTI BENE (2018年)

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スタッフ
監督:ガブリエーレ・ムッチーノ
製作:マルコ・ベラルディ
脚本:G・ムッチーノ、パオロ・コステッラ
撮影:シェーン・ハルバット
音楽:ニコラ・ピオヴァーニ

キャスト
パオロ / ステファノ・アコルシ
イザベッラ / エレーナ・クッチ
ジネーグラ / カロリーナ・クレッシェンティーニ
カルロ / ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ
ベアトリーチェ / クラウディア・ジェリーニ
サーラ / サブリナ・インバチャトーレ
サンドロ / マッシモ・ギーニ
アルバ / ステファニア・サンドレッリ
マリア / サンドラ・ミーロ

日本公開: 2019年
製作国: ロータス・プロ&ライ作品
配給: アルバトロス・フィルム


あらすじとコメント

前回は不器用な親子関係を渋く描いたフランス映画だった。今回はイタリアのリゾート島が舞台。これぞイタリアという大家族のハチャメチャな群像劇。

イタリア、イスキア島

長年島でレストランを経営してきたピエトロ夫妻の金婚式が行われることになった。

経営を受け継いだ長男カルロ(ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ)は再婚。ところが家族の絆を尊ぶ母の要望で前妻と年頃になった長女がボーイフレンド同伴で来島してきたからカルロは心中穏やかではない。

他にも末っ子のパオロ(ステファノ・アコルシ)は小説家で離婚歴アリ。更に仕事や金銭援助を目論む親族や、若年性アルツハイマー症を患う息子を持つピエトロの姉など総勢19名が参集してきた。

所詮、一日だけの祝い事であり、全員が建前優先でご機嫌伺いをしていた。ところが天候が急変し、ナポリ行きの夕刻発のフェリーが欠航になってしまう。

仕方なく全員が分担して各部屋割りをするが、当然、誰もにも鬱憤が溜まっていき・・・

身勝手優先な人間たちの欲望を子供らをも巻き込んで描くコメディ。

金婚式の祝いだが家族の絆にこだわる妻に、孤児だった夫の元経営者はかつて浮気放題の男。それでも何とか50年も連れ添った。

レストランは長男と長女が経営を受け継いでいるが、長男には前妻に激しい嫉妬心を持つ現妻がいたり、末の弟は幼馴染の親戚の子連れ女性と不倫の恋に落ちたりする。

こう書いても何とも理解しずらい人間模様であり、我こそはとか、私を最優先で見てよ的激情型の大人ばかり。

しかも突然の居残りにそれぞれの感情が暴発していく展開。

兎に角、全員が良くしゃべるから各人の人となりや個性が伝わってくるので、これぞ南イタリアの大家族という印象。

しかも思春期から小さな子供まで巻き込んで行っても自分最優先。嫉妬心やら単なる天邪鬼、自分の正当性を前面に押し出し悪いのは周囲と平然と訴える人間、子供の前で下品な下ネタを連発する輩とか、何とも騒がしい面々しかいない。

成程、他人の不幸は密の味とばかりに、登場人物たちの右往左往を薄ら笑いを浮かべて見て行く内容である。

ただ、日本人には完全に対岸の火事的人間ドラマであり、誰かに肩入れするよりも、閉口して疲労してしまう人もかなりいるだろう。

それほど民族的に違うと痛感させられるのも事実。しかも舞台が風光明媚なナポリ湾に浮かぶイスキア島という一応のリゾートであるが、どちらかというと隣の「青の洞窟」があるカプリ島の方が有名で、どこか寂れた感が漂う場所。

そういう地理的シチュエーションが分かっていると別な面白さも加味されるだろうか。

垢抜けない自己中心の塊である人間たちの正当性の主張がコメディになる。だが、以前のイタリア政権よろしく、結局一党独裁はできず、弱小政党の連立で頻繁にひっくり返り安定しないのと似ている。

つまり、誰も折衷案を出しながら自らに利する方に手繰り寄せようとするので、一致団結し大団円のハッピーエンドはありえない。

そこが妙にリアルであり、誰よりも自分が大事なんだなと、ステレオタイプであるが、いかにもイタリア的大家族と感じさせてくれる群像劇である。

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