新たなる提案か、それとも既定路線か。
日本における人口構成比から見ても、やはり現役を完全リタイアした方も多く、第二第三の人生を謳歌する人が益々増加中。
それでも出来るだけ仕事をしつつ社会と繋がりを持ち続けたいと再雇用で働く人も多いし、それなりの戦力にはなっているか。
一方で自分のように、ほぼほぼ人生から降りて、真面目でというか一生懸命に働くという価値観を持たない人も若干は増加しているのだろうか。
そんな自分が興味を惹かれるTV番組がまた、ひとつの提案系として始まった。
通は「昼飲みで」とかいう番組が始まり、真昼間から酒を飲んでも問題ないという価値観を植え付けたと思っていたら、新たに「市場で朝呑み」する番組で出て来た。
TVもオールド・メディアと揶揄されもするし、下支えしているのはリタイヤした系の人かも。その上、地上波からBS、CS、ペイチェンネルと多様化し、それなりに新機軸を出して行かないといけないのだろう。
でもさ、ある意味一日中飲んでろという推奨かね、とも感じた。年寄りたちが遂に仕事を完全リタイアして、やることがないから、この手の番組が出来てくるのかな。
間違いなく、それはそれで楽しい提案。まるで自分の人生が肯定されてる感があるし。
暇なんだから一日中飲んで問題ないし、TVで流される以上は社会的承認を得たとも取れる。なのでこれから朝呑み族が増えるのかも。
ただし、長く続く番組の居酒屋評論家にあやかって、自分も憧れて少しでも近づき、妙に訳知り顔をするリタイヤ組が市場内をフラフラと歩いている画は見たくない。
当然、自分も周囲からその類に見られるが。事実、かつては沖縄の那覇に昔ながらの佇まいの『農連市場』があり、そこで早朝から食堂に行って朝飯を食べるのが好きだった。そもそもそこの食堂の閉店時間は、確か午前中だった。
ただし、市場内の食堂では一切アルコールの扱いがなかった。つまり、飲みながら定食を食べられないというマイナス点があったのだが。
ランチ営業の食堂はどこでも酒類を扱っているのに不思議と思っていた。
で、東京在住の沖縄出身者に尋いてみた。その方は笑いながら答えてくれた。居座るからだよ、と。
早朝の市場は夜明け前に老亭主が車に収穫した野菜と売り手の老妻を連れてきて、小さな店に商品を拡げて、労働はお仕舞い。後は、おばぁが対面販売する。
すると仕事を終えたとばかりに老亭主どもが食堂で呑み始めて、社会が動き出すころには泥酔しているんだって。
確かに観光客も来るしイメ─ジは良くはないわな。それでそこの昔ながらの渋い食堂では酒類を販売しないのだとか。
その沖縄人曰く、でもさ、観光客だしアンタのような風体ならコンビニで缶ビール買ってきたから少し飲ませてねと言えばオッケ─でしょ、だと。
是非、次回はそうしようと思っていたら東京じゃあるまいし、新しく建て直すと相成り、結果今ではその風情は完全に消え、どこだか分らん無機質な味もそっけもない建物に集約されちまった。
で、今更に東京近郊の市場で朝呑みか。心動くが、それじゃ前乗りで市場近くで一泊しなきゃだな。
それも何だかなァ。