戦場のガンマン - 5 PER L’INFERNO (1968年)

メルマガ会員限定

画像を表示するにはメルマガでお知らせしたパスワードを入力してください。

スタッフ
監督:ジャンフランコ・パロリーニ
製作:アルド・アッドバッティ
脚本:セルジオ・ガローネ、G・パロリーニ
撮影:サンドロ・マンコーニ
音楽:ヴァスコ − マンクーソ

キャスト
ホフマン少尉 / ジャンニ・ガルコ
ミューラー大佐 / クラウス・キンスキー
アマドーリ / アルド・カンティ
ヘルガ / マーガレット・リー
シラクーサ / サルヴァトーレ・ボルゲーゼ
ホワイ  / ルチアーノ・ロッシ
マッカーシー軍曹 / サムソン・バーク
フリードリッヒ将軍 / イリオ・ファンティーニ
ニクソン大尉 / マイク・モンティ

日本公開: 1969年
製作国: イタリア アンブロシアナ・チネマ作品
配給: ヘラルド


あらすじとコメント

イタリア製戦争映画。今回は奇想天外な内容で、欧米の有名俳優も起用せず予算的な問題も容易に想定できるC級としか呼びざるを得ない、いかにもイタリア製らしい「マカロニ・コンバット」。

イタリア、南部戦線。

南イタリアに上陸したものの、膠着状態で劣勢のアメリカ軍。しかもドイツは『K作戦』と呼ぶ大反撃計画を実行しようとしていた。それが実行されるとアメリカ軍五万名の命運にかかわるのだ。

焦った上層部は、ホフマン少尉(ジャンニ・ガルコ)の他に精鋭4名を選抜し、極秘作戦を指令した。内容は女スパイのヘルガ(マーガレット・リー)手引きの元、ヴィラ・ヴェルデにあるドイツ軍司令部へ忍び込み、金庫から作戦計画書を盗みだすこと。

難題山積の作戦であったが、中でも一番危険なのは、親衛隊のミューラー大佐(クラウス・キンスキー)の存在であった・・・

B級とも呼べない、ある意味、失笑連続の戦争アクション。

それぞれの分野のエキスパートを集め、難攻不落の敵司令部に潜入し、ミッションを遂行せよ。

その過程で、取り敢えず様々なアクションがメインの戦争映画を作りたい。初期のTVゲームと同じ発想と内容とも呼べる。尤も、本作の方がゲームよりも早いのだが、

先ず、そんなアイディアありきの企画。ゆえに細かいストーリィの整合性は無視。ある意味、潔いというか、本当は中高校生でも考え付くような企画を真面目に作る国民性。

映画は娯楽であるの信念の元、どうやって映画を盛り上げるか。

出来るものは何でも用いる。軽快ながら挿入するタイミングが意味不明の音楽に始まり、アメリカ人は陽気という視点からか、突如、タップ・シーンがでて来たり、色っぽい女性のセミ・ヌードやベッド・シーンも登場してきて実にサーヴィス満載でもある。

しかも当の本人たち、スタッフも俳優も含め、誰もが真面目だと感じさせる。

何とも、信じ難い作劇と進行。当時、イタリア戦争映画というと、盛りを過ぎたハリウッドのベテラン有名俳優や、そこそこ名のある脇役、また、TVドラマでは人気のあった俳優を多用し、いかにも『ハリウッド製戦争映画』として製作していた時期でもある。

そんな中で、本作はアメリカ人俳優は皆無。まあ、役名がイタリア系なのが、ほんの少しのリアリティというか、救いではある。

しかし、そんな全てが中途半端な本作の中で、出色なのはポーランド出身であり、実際にドイツ兵として第二次大戦に参加したクラウス・キンスキーの存在。

本来は性格俳優であり、名優の雰囲気もある俳優。本人も奇人だったらしいが、一時期、イタリア映画でアクの強い悪役として名を馳せた。

娘はナターシャ・キンスキーで、同じく俳優として活躍。

また、彼に限らずアメリカ製戦争映画でよく見かけるチョイ役的ドイツ系俳優も、イタリア映画では、かなり重要な役どころで出ずっぱりという印象もある。

確かに、近隣国であるドイツ人は、ハリウッド映画よりも出演させやすい。

それが一時期、粗製乱造されたイタリア製戦争映画や西部劇で発見するのが、個人的に密かな愉しみでもあった。

本作で良い点を挙げるとすれば、登場する軍用車両や、どのドイツ兵もドイツ語を話すという、妙なリアリティ感であろうか。

編集のリズム感も小気味良いしツボだけは押さえようと奮迅した後も伺える。しかし、画面を盛り上げようと訓練シーンや戦闘場面での、一々、器械体操のような余計な動作が必ず一つ入ったり、総勢5名のみの秘密ミッションなのに、これだけの機材や制服を持ち込めたのかといった設定の、あまりにも信じ難い進行。

それでいてマシンガンの弾数はカウントし、予備弾倉と取りかえる細かい動作など、全体として大雑把な割に、妙なところでこちらの想像以上にこだわったりする。

ごった煮的展開を真面目に輩出するイタリア製マカロニ・コンバット作の典型作。

余談雑談 2025年12月20日
今年は12月らしいのだろうか。極端な気候変化で、数日単位で二ヶ月近い気温変動。秋がどの程度の期間あったかと考えても首を傾げる。寒さが身に染みたり、妙に汗をかいたり。体が何とか合わせようとしているのが分かるが、以前ほど上手く行ってないなとも感...