押入れのパンフレットを発見以来、頓挫している『大掃除計画』。
何かしらしなければと考え、とりあえず、肩のリハビリがてら「靴磨き」はどうだろうかと考えた。で、靴磨きクリーム等を買うために出掛けた。
強い寒気団が来襲し、東京はことの他、寒い日。店はプロの靴職人が通う小さな問屋なのだが、卸値で小売もしてくれるので有り難い。場所は、俗にいう『山谷』。
日雇労務者たちが集う場所である。昔は、仕事にあぶれて、朝から酔っ払い、車道をフラフラ歩いたり、歩道にたむろしていて、日中でさえ歩くのが憚られたものだった。
しかし、汚い木造宿屋や朝から開いている安酒場なども減り、随分とイメージが変わっていた。それでも、その手の男たちがいるのは変わらない。
ただし、『顔つき』が変わったと感じた。
大酒呑みで破天荒だが、どこか日に焼けて、精悍というか、「職人」という面構えの男たちも多くいた。決して、人生の敗残者ではないと感じるオーラがあった。
しかし、現在いるのは、覇気もなく、「労務者」というよりも、ホームレス的風情の人間ばかりだ。
やはり、時代なのだろうか。酒を呑んでいる感じもなく、ただ、ブラブラとしている。当然、向こうからは絡んできたりとか、特段、何をしてくるわけでもない。
まさか、ここにも『草食系』なるものが増殖している訳でもあるまい。
寒いが、穏やかで晴天の昼。近くで開いていれば、安酒場で一杯飲みたくなった。しかし、その手の店は、とうの昔になくなっていた。