スタッフ
監督: ディック・パウエル
製作: ディック・パウエル
脚本: ウェンデル・メイズ
撮影: ハロルド・ロッソン
音楽: リー・ハーライン
キャスト
マレル艦長 / ロバート・ミッチャム
フォン・ストルバーグ / クルト・ユルゲンス
ウェア中尉 / アル・ヘディスン
シューワッファー / セオドア・ビケル
軍医 / ラッセル・コリンズ
フォン・カレル / クールト・クリューガー
クレイン上等兵曹 / フランク・アルバートソン
マッケソン / ブラッド・デクスター
機関手 / ダグ・マクルーア
日本公開: 1958年
製作国: アメリカ 20世紀フォックス作品
配給: 20世紀フォックス
あらすじとコメント
ロバート・ミッチャム主演作で繋げてみた。コメディでなく、『タフガイ』としての彼の魅力が十二分に発揮された、対潜水艦との戦いを描く戦争映画の傑作。
第二次大戦下の南大西洋。米海軍の駆逐艦ヘインズ号は、新任艦長マレル(ロバート・ミッチャム)が指揮していた。
しかし、マレルは出航後、艦長室に篭りきりで一切、外にでて来なかった。乗組員たちは、新艦長が船酔いしているとか、以前乗っていた商船が撃沈され、長い間漂流していたから、怖気づいているのだとか色々と噂していた。
何事もなく、陽が暮れようとしたとき、艦のレーダーがドイツUボートの艦影をキャッチ。
一方、そのUボートは、第一次大戦から潜水艦に乗るヴェテラン艦長ストルバーグ(クルト・ユルゲンス)が指揮していた・・・
駆逐艦と潜水艦の戦いを見事に描き切った男の映画。
登場するのは米軍駆逐艦とドイツの潜水艦、各々一雙。そこに乗る乗組員たちと、広大に拡がる海のみである。
物語は単純明快。駆逐艦の任務はドイツ潜水艦を発見し、撃沈すること。そこに敵艦登場。
装備は「爆雷」で、敵潜水艦がいる水深を割りだし、その位置で爆発させる爆弾である。
方や潜水艦の武器は「魚雷」。艦首と艦尾から発射し、一直線に敵艦を狙う。
お互い、それだけしか、敵を撃沈させる装備はない。つまり単純な兵器である。
必要なのは、それぞれの艦長の頭脳と経験値。しかも、お互いに相手の顔が見えないし、どの程度の実力を持つ人間であるのかも計り知れないのである。
そこで、先ず、互いが頭脳プレイで相手の実力を試していく。要は駆け引きである。
その『駆け引き』が、抜群に面白いのだ。
当初から主役である米軍の艦長は、Uボートが様々な陽動策を講じるが、最終的に一定の方向へ戻ることを察知し、その方面に重要任務が待っているはずだと推理する。
方やUボートは、米駆逐艦のレーダーより性能が落ちるため、当初は、相手が駆逐艦であるかどうかも解らない始末。
しかし、そこはヴェテランの実力がある。逆に、どの程度の相手かを知るために、引っ掛けるような行動をわざと取る。そこで駆逐艦は、予想だにしない行動にでるのだ。
そのときに発する一言が映画のバランスを決定する。「相手は余程のバカか、もしくは、相当な切れ者だ」。
それから一進一退の攻防が始まる。お互いが、互いの腹を探り合いながら、次はきっと、こういう行動にでると予想し合う。それが当たったり、外れたり。
その都度、お互いの艦がダメージを受けるという、実に緩急のついた展開が待ち受ける。
やがて、お互いの艦長は会ったこともない相手に、同じく海に生きる男として尊敬の念を抱いていく。
作劇自体も完全なる『正義』と『悪』として描かない。双方が対等に描かれるので、見ているこちらも、両方に肩入れしていくのだ。
単純明快な筋運びながら、善悪を二極化しない所に、本作の心意気を感じた。まるでフェア精神に満ちた、素晴しいスポーツの試合を、手に汗し、一喜一憂しながら観戦している感覚である。
そして、だからこそ、訪れるラストに熱くこみ上げるものがあり、ホッと胸を撫で下ろすのだ。男として、本作のラストで感動しない人間はいないだろう。
戦争における『個 』という存在。敵とはいえ、男同志としての心意気と、物量や新兵器に頼らない『一対一』という戦闘。
心底、男としてシビれる作品にして、傑作の一本。


