折れた矢 – BROKEN ARROW(1950年)

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スタッフ

監督: デルマー・ディヴィス
製作: ジュリアン・ブラウシュタイン
脚本: マイケル・ブランクフォート
撮影: アーネスト・パルマー
音楽: アルフレッド・ニューマン

キャスト

ジェファース / ジェームス・スチュワート
コチース / ジェフ・チャンドラー
ソンシアレイ / デブラ・パジェット
ハワード将軍 / バジル・ルイスデール
スレード / ウィル・ギア
ダフィールド / アーサー・ハニカット
バーナル中佐 / レイモンド・ブレムリー
ゴクリヤ / ジェイ・シルヴァーヒールズ
ロネガン / ロバート・アドラー

日本公開: 1951年
製作国: アメリカ 20世紀フォックス作品
配給: 20世紀フォクス


あらすじとコメント

前回の「アウトロー」(1976)はある意味、異色の西部劇。今回も、当時としては、かなり異色であった作品。共通しているのは「マイノリティー」への敬愛の念だ。

1870年アメリカ、アリゾナ。南北戦争後、除隊して金鉱を探しに来たジェファース(ジェームス・スチュワート)は、騎兵隊に撃たれて、怪我をしていたアパッチ族の少年を助けた。

そんな少年の属するアパッチ族は、10年に渡り、勇猛なコチーズ酋長(ジェフ・チャンドラー)と、白人の間で壮絶な戦いを繰り返していた時期でもあった。しかし、ジェファースは人種に関係なく、人間は理解し合えると信じていた。

そして彼は、搬送中、アパッチ襲撃により、物資が一切到着しないとある町の現状を打破しようと、せめて郵便だけでも安心して届けられるよう、死の危険を厭わず、単身、コチーズ酋長に談判に向った・・・

白人と先住民の共生の道を探そうとする異色作。

新参者である白人たち。先住民たちを皮膚の色が違うので、野蛮で格下だと信じている人間も多くいた一方で、昔からその土地に生きる先住民たちからすれば、白人こそが侵略者だ。

しかし、現在と違い、冷静に比較できるような情報量は圧倒的に少なく、人間たちの思考回路も、人生に余裕がないので、単純な発想による価値観の者も多かったであろう。ゆえに、自分の考える正義のためには、武力を持って相手に対峙し、命を賭すのが当り前である。そんな時代。

本作は、そういった単純明快な価値観の元に製作されていた『西部劇』が主流であった時代に、一本の太い『楔』を打ち込んだ作品なのだ。

主題は『融和』。お互いが、理解し合おうとし、努力すれば、必ず道は開けるという「性善説」の映画なのだ。

主人公は、かつてインディアンとも戦った元軍人。しかし、現在では、たったひとり砂金を探して旅する流れ者である。

こういった設定は、数多くの映画で描かれてきた。私利私欲のため、苦楽を共にした仲間を平気で殺す悪役として描かれることもあるし、孤独を噛みしめつつ、己の人生や価値観について自問しながら旅を続ける男もいる。本作の主人公は、後者として描かれる。

そんな主役を演じているのが、当時『アメリカの良心』と呼ばれていたジェームス・スチュワート。まさに適役である。芸暦の長い俳優であり、約100本という作品に出演してきたが、悪役を演じた作品は1、2本しかなく、その作品すら、単純な極悪人ではなく、悩める悪役だ。

事実、晩年は、彼が大統領選に出馬したら、間違いなくなく当選すると言われていた。

それを象徴する有名な逸話として、ロナルド・レーガン元大統領が、俳優を辞し、州知事戦に立候補した時、とあるハリウッドのプロデューサーが、映画の話だと誤解し「ダメだ、何だ、そのキャスティングは。レーガンは補佐役で知事役はジェームス・スチュワートだろ」と言ったのは有名。

そんな彼が、本作では『人間とは理解し合えるもの』と信じ、自らの行動に命を賭けていく。そのために、インディアンの言語や習慣、歴史を習い、単身、誇り高き武闘派と呼ばれる酋長を訪ね、交渉していく。

それがやがて大きな輪となり、闘いは収束し、後の『インディアン居住区』ヘと繋がっていく歴史的史実を背景に描いていくのだ。

ただし、あくまで「社会派」映画としてではなく、「娯楽西部劇」としての作劇である。インディアン娘との恋愛や、インディアン、白人双方に融和を乱す人間がいたりと、そこはツボを押さえた設定である。

一時間半にも満たない映画でもあるので、かなり端折ったりする部分が目立つが、アメリカ映画史上、インディアンを同等に描いた初の作品と言われている。

説教臭さもあり、理想的過ぎるとも感じるが、当時としては斬新な設定の作品だったであろう、異色『ウエスタン』の佳作。

余談雑談 2010年11月6日
この時期、朝晩の寒さは酷暑だった所為か、例年よりも、特段、寒く感じる。 なので、今夏買い換えたばかりのエアコンの暖房スイッチを入れた。ところが、というか、案の定、ガス式だった旧型より効きが悪い。 そういえば、設置時の『おマヌケな見積人』が言