スタッフ
監督: リチャード・カーティス
製作: ダンカン・ケーワシー、ティム・ビーヴァン 他
脚本: リチャード・カーティス
撮影: マイケル・コールター
音楽: クレイグ・アームストロング
キャスト
英国首相 / ヒュー・グラント
ハリー / アラン・リックマン
カレン / エマ・トンプソン
ダニエル / リーアム・ニーソン
ジェイミー / コリン・ファース
ルーファス / ローワン・アトキンソン
ジュリエット / キーラ・ナイトレイ
サラ / ローラ・リニー
米国大統領 / ビリー・ボブ・ソーントン
日本公開: 2004年
製作国: イギリス ワーキング・タイトル作品
配給: UIP
あらすじとコメント
今回もオムニバス形式のドラマ。前回の歴史が動いた『衝撃』から、ある意味インスパイアされた作品でもある。今日は、クリスマス当日でもあることだし、読者へのささやかなプレゼントではないが、クリスマスに絡めた登場者たちそれぞれの『愛』の行方をハートフルに描いた作品にしてみた。
イギリス、ロンドン。クリスマスの5週間前。総選挙が終わり、新たに独身でハンサムな首相(ヒュー・グラント)の政権が誕生した。そんな中、元大人気だったロック・ミュージッシャンだが、薬物中毒からやっと立ち直ったマック(ビル・ナイ)は、自身の名曲をカバーし、起死回生のチャンスを狙っていた。
最愛の妻に先立たれ、彼女の連れ子だった男の子と二人だけの生活になったダニエル(リーアム・ニーソン)は、義理の息子が最近部屋に閉じこもり勝ちなのが気になっていた。また、新首相の妹と結婚している会社社長ハリー(アラン・リックマン)は、部下の女性から露骨に言い寄られ困惑気味だった。
そんな誰にもクリスマスが近付いている中、不安を抱えながら、それぞれが日々の生活に追われていた・・・
18人の人間たちがクリスマスに向け織り成す恋愛エピソード集。
登場人物は他に、親友の結婚相手に恋する男、言語が違うために意思疎通が上手く図れないスランプ中の小説家と彼のハウス・キーパーをするポルトガル人女性など。
それぞれの立場からの『恋愛模様』を数分単位で点描し、クリスマスへ向けてすれ違ったり、誤解したりと心の流れを暖かい視線で見つめていく。
根底に流れるのは「慈愛」であり、キリスト教の正調である。ゆえに、恋し、焦がれるのは年齢に関係なく「男女」という異性であり、決して「同性」や「邪淫」ではない。
確かに「不倫」という設定は出ては来る。しかし、それは一瞬、人生に魔が差しただけであり、後悔と共に家族の下へ戻っていくという筋書き。
それら全てが大いなる『クリスマス・プレゼント』なのである。
結局、クリスマスを心暖かく迎えられないのは、「邪淫者」や「利己主義者」なのだ。しかし、その手の人間たちは、自分自身には罪の意識はないという描き方でもある。
そういう点では「博愛的」でもある。確かに、首相という国のトップの恋愛から、市井の人間まで、傍から見ると微笑ましい出来事でも、当の本人たちにすれば、それこそ、以後の人生を大きく左右する一大イベントなのだ。
だからこそ、それぞれのエピソードが集約されるのがクリスマスなのだ。つまり、神様は誰に対しても大なり小なりのプレゼントをくれるという『クリスマス映画』という作りなのだ。
ただ、殆んどの出演者が同じ場所に偶然、集まってくるという設定に、些か強引さを感じ、また、ラスト数分で描かれる空港での後日談も余計な部分が散見する。
細かい設定とエピソードが紡ぎだし、やがて、大団円になるべくクライマックスを迎えるという作劇ではなく、割と淡々とラストまで進行するのが、大好きな作品になるか、さもありなんと感じるかの分かれ目だろうか。
そのあたりも単純明快なハリウッド映画とは違うティストである。
皆さんはどのように感じるのだろうか。それでは読者の皆様、メリー・クリスマス。