桜が満開だ。風雨に耐えて咲く満開の桜。そんな早朝の桜を見下すのはある意味、優越感だ。
とはいえ、儚い命でもある。早くなる朝を窓越しに見つつ、自分には出来ない芸当だよなと溜息をついて珈琲を飲むのも楽しみ。
早朝の気温も暖かく、暖房のスイッチも入れないと春を感じる。だが、逆に旅心のスイッチが入る。まあ、今月は友人らと温泉旅行があるので、一回はクリアだが。
それに飽き足らず、まだ見ぬ地域を探して、BS等の旅番組を録画するのも好き。大河ドラマの舞台や、野球チームの優勝とかで人気が出ると、その地域に特化した様々な特集が組まれる。
しかし、それに感化されて行くと、既に人気スポットとして観光客で一杯。しかも、海外観光客まで増加という。
それでは、嫌でも毎日見られる地元の見慣れた光景と何ら変わりはない。わざわざ人波を見に出向きたくはない。
どうにも「無いものねだり」で、人がいなくて忘れ去れた感のある場所が大好きで、出来れば鄙びた温泉街等があると尚良い。
そんな場所はないかと探して見るが中には再放送で、五年以上も前の旅情風景が映し出されるものもある。相前後して、最近収録された同地方の番組を見ると、既に違う光景が拡がっていたりして驚く。
「地域活性化」や「町おこし」で、地元自治体が頑張って移住者を募集する。それに呼応して、都会方面からの流入者がやって来て、都会風店舗を開店し、結局、どこも同じような風景に変る。
地元に長く住む人たちは、以前と同じノンビリ感覚で生きているから、驚くだけで、自分らからは行動に出にくいのだろうか。それとも、少しでも人が参集して来れば、活気が出て喜ばしいのか。
だが、ほどなくして飽きられる。そんな時期に行ってみて、変わった姿に失望するかもしれないな。
尤も、これは自分の心持ちが歪んでいるからだろうが。古いものは古いまま、磨き込んでいぶし銀のような状態が好き。その上、数十年前の価格なら完璧。
そんな場所の新発見を望んで録画するが、超個人的なこちらの嗜好など採用されるはずもなく、例えそんな場所が残っていても、知らないまま時間が流れる。
もし、行きたい場所を見つけてもすぐには行けないし。かといって、コツコツ貯金なども出来ない性分。まったく、痛し痒しだよな。
桜同様、綺麗に咲いて、見事に散りますかね。
おっと、珈琲でなく、酒の出番だな。