奥日光の雪見温泉旅の続き。半露天と内湯をハシゴ後、夕食は別棟の囲炉裏が切ってある食堂へ。
旅館というか民宿の態でもあり、金取るための刺身などは出ず、素朴と質素さの印象が勝る山菜やそばがメインの卓。囲炉裏に串刺しの味付け湯葉、川魚、鴨肉を練り込んだ味噌をしゃもじに塗ったものが、炭に向け刺さっている。酒は女将さんが切りだしてくる竹筒に入って、やはり炭の近くに刺して燗をつける。
一同満足し、翌朝は陽の上る前から風呂を楽しんだ。そして朝食は、毎度お馴染みの内容で、仲間が、連泊したら何が違うものが出るのだろうか、と笑う。
チェックアウト時は、先に他の客を帰し、宿の女将さんが「自家製たくあん」を臭うからと新聞紙に包んで、全員分土産だとくれた。宿賃をまけてくれた上に、お土産付。これだから定宿にしたくなるのだ。
そして、その足で前日「熊鍋」を食べた店に向かった。念願の「山鳥鍋」を頂くためである。
流石に10時過ぎでは他に客はなし。ところが、こちらが入ったのを見たのか、すぐに客が入って来た。
早速、山鳥鍋が登場。しかし、土鍋ではなく、大きなアルミ鍋に入ってデンと置かれた。何だか、親戚の家に来たようだ。
肉は、かなり筋肉質で噛み応えが半端ない。皮の部分だってコリコリとした食感で嬉しい美味しさ。味付けは薄い塩味系で飽きが来ない。いきなり午前中から宴会モードに。
すると、鹿の刺身に出来ない部位で煮込んだ裏メニューが出てきた。要は「鹿のスジ煮込み」である。
いやはや、これも美味い。続いて「鹿のレバー」を軽く炊いたものまで、サービスね、と登場。昨日だったら新鮮だったから刺身でも行けたんだけどね、と余計なひと言。
何だよと一同が声を挙げたら、あら、食べたかったの、言ってくれれば、と。全く、知らなきゃ注文出来ないし。
でも、これが常連の甘えだろうか。で、店を辞するときに今度はいつ頃と笑顔で女将に言われた。逡巡していると、6月なら山椒魚の解禁月だから、そのあたりでと仰る。
一同大満足し、バスで駅に戻ると、またもやバスが2台で、大勢の観光客を待っていた。それにしても凄い観光客数だ。これじゃ、店のマタギ夫婦は、飯が食えないの確定だねと一同で苦笑い。
それにしても宿といい、店といい特別割引と手土産付、こなたは裏メニュー尽しと来たもんだ。
これからはAIの時代だろうが、こういうことまで対応してくれるのだろうか。
まさかな。それに湯気越しの雪の揺れ方までは計算して演出できまい。