季節が進む。肌なり、口内が乾燥し始めた。こうなると外出時は面倒。途中での水分補給である。
一々、自販機で買ったり、安いカフェチェーンを探すのも面倒、というか、もったいない。
それに、なるべく荷物を持たずに外出したいので、ペットボトルに水道水など入れ替えて持ち運ぶのは、重たいから避けたい。
となると、スーパーやら百貨店の水飲場が良いのだが、目指す先や途中に都合良く存在していない。
まあ、それを言い訳に外出を避けるように。それでも先立て、午後から上野で所用があり、夜は、というよりも夕方は、久しく行っていない三河島のもつ焼き屋に顔を出そうと思っていた。
逆算していき、4時半過ぎのJR常磐新線に乗れば良いかなと。ところが、用件が終わったのが、4時前。
何とも中途半端。ならば、たまさか豪華に上野駅構内のカフェにでも行ってみるかと駅に向かった。
しかし日の入りが早まったとはいえ、妙に暖かい夕刻。コーヒー代と交通費がよぎる。すぐに決断は覆った。
のどは渇いているが、頑張って歩いて行こう。口開けの店で酎ハイは格別だろう。
要はセコいだけだが、線路沿いを鶯谷方面へ歩き出した。暫く振りの夕方散歩。
途中、わざと路地に入り込み、方向性だけを間違わぬように歩く。見知った路地もあれば、初めての路地も。
小さな家の密集地帯では、料理の匂いが漂ってきたり、小学生が帰宅しようと歩いていたり、何とも懐かしい光景が拡がっていた。
ところが、やはりあちこち虫食い状態で、空き地が増加していた。ビルが建つほどの敷地もないし、雑草がかなり生えている場所も。
これがオリンピック前の東京下町系の現状なのだろう。昔はかなり賑わっていた商店街も閉店が相次いでいて5時前だというのに数件しかやっていない。随分と変わったと消沈。
そして5時丁度に懐かしのもつ焼き屋の暖簾をくぐった。失礼だが、汚さに拍車がかかっていた。老齢で一人で営業。
メニューも随分と少なくなり、あまり種類がなくてと、頭を下げてくる主人。ただし、一番高い品でも300円であり、もつ焼きは大串なのに100円。何十年と値段が変わらない。
すぐに常連らしき年配の方々がやってきたが、誰一人もつ焼きを頼まない。100円の落花生か、袋入りの韓国海苔で飲んでいる。誰一人1000円も使わず。
こちらは色々と注文し、大満足だったが、どうにも寂しさを拭えない。
そこの近所にあった別なもつ焼き屋が閉店して5年は経ち、その場所へも廻ったが、既に更地に。店のご夫婦は、元気で存命なのだろうか。
東京でも過疎化が進む。多くの黄昏を感じた晩。