入院中に新発見である。何ね、巷ではとっくに有名な「貴殿に歯磨き粉」とかいうサイト。
自撮り動画をアップして広告収入で金稼いで有名になった人やら、売れようと必死のパフォーマー系などいて、過激な行動で、あちらこちらで騒ぎを起こして大迷惑てな印象だった。
要は、若僧向けでうるさいというイメージ。ところが、病室で暇にかまけて見ると、おいおい、随分と古いTVバラエティーや、エアチェックした様々なジャンルの音楽など多岐に渡ってるじゃないか。
とはいっても、違法アップロードも随分とあり、恐らく見る方も罰せられるんじゃなかったか。
それでもフリー素材でカフェ向けのボサノヴァ音楽など、病室の窓から見える空と中途半端な古いビルが少し建つ風景は、最後に行った海外、中米コスタリカの首都サンホセ郊外の雰囲気に見えなくもない。
最近は梅雨に入って天気もイマイチだが、ベッドに横になりながら静かにボサノバを流し聞きし、移り行く雲を見つめる日常。
これで酒でもあれば、一生ここでも良いと思う自分。確かに病院食だが、日に三度、何をどう食べるかを考えずに健康に留意したものが供される。しかも本物の白衣の天使たちが日に何人も来て、ご機嫌伺いまでしてくれる。
素敵な余生だが、松葉杖でのリハビリが始まり、少しでも歩行が可能になると退院したくなるのかね。それとも、まったく使ってなかった脚の激痛で歩きたくなくなるか。
慣れかもしれないけどな。人生初の車イス操作だって、あっという間に慣れて、これはこれでラクじゃないと感じたし。尤もバリアフリーの病棟移動のみで、段差がある日常ではどうなるんだろうか。
それでも、やはりシャバの空気。そりゃそうだよな。入院以来、武漢肺炎の所為で、見舞い客の誰一人も来ないし、こちらも只の一度も建物外に出ていない。完全隔離というやつ。
そもそも数週間も禁酒する人生は想像もしてなかった。何だか、アル中を描く映画の主人公の気分だ。
俳優だったら主演男優賞を貰えるかもだが、どうせ貰うならコップ一杯のビールで宜しい。
空に浮かぶ雲が、ビールの泡に見えないだけマシか。
それに成人病の数値だってレッド・ゾーンだし。
ちェ、何の巡り合わせなんだ。