勇者のみ – NONE BUT THE BRAVE(1964年)

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スタッフ
監督:フランク・シナトラ、井上和男
製作:ハワード・カッツ、奥田喜久丸
脚本:ジョン・ツィスト、須崎勝弥
撮影:ウィリアム・ダニエルズ、円谷英二(特技)
音楽:ジョン、ウィリアムス、広瀬健次郎

キャスト
マローニ / フランク・シナトラ
黒木中尉 / 三橋達也
パーク大尉 / クリント・ウォーカー
ブレア少尉 / トミー・サンズ
ブレーカー軍曹 / ブラッド・デクスター
田村軍曹 / 加藤武
藤本伍長 / 佐原健二
奥田二等兵 / 春風亭柳朝
徳丸二等兵 / 太宰久雄

日本公開: 1965年
製作国: アメリカ、日本 シナトラ・プロ、東宝作品
配給: 東宝

フランク・シナトラ主演作で繋げる。しかも主演のみならず監督にまで挑戦した意欲作で、孤島での日米戦を描くアクション作。

太平洋、ソロモン群島

第二次大戦末期、とある孤島に見捨てられたように駐留する日本陸軍の小隊があった。隊長は黒木中尉(三橋達也)で、副官は鬼軍曹の田村(加藤武)。敵もいない状況でも厳しい軍事教練を科す田村を黒木がなだめる日々が続いていた。

ある日、島の近くでゼロ戦に攻撃されたアメリカの輸送機が島の南端に不時着した。搭乗していたのは空軍大尉パーク(クリント・ウォーカー)の他、ブレア少尉(トミー・サンズ)ら海兵隊員に、衛生下士官マローニ(フランク・シナトラ)たち。

しかし無線機も故障して救援を呼べないし、まして日本軍がいることも知らず・・・

孤島で繰り広げられる日米双方の人間模様を描く戦争ドラマ。

見捨てられた孤島で同規模の人数と銃器で対峙することになる日米軍。

小競り合いから唯一の泉を巡る攻防戦、脱出用小舟の争奪戦などアクションも豊富な内容で進行する。

かなり日本を意識して対等に描こうと砕身した努力がうかがえる設定と内容。しかも双方に好戦的軍人や理解ある将校とシンメトリーの如く同比重で登場してくる。

ただし、落しどころは日米の国力の差が歴然と結果を左右する。ある意味、完全に想定通りの進行と結末。

主演であり、初監督もこなしたシナトラが控え目の演技と演出に終始しているが、結果、やはりシナトラの映画となっているのも興味深い。

ただ、アメリカ側が最高位ゆえにパイロットの大尉が地上で指揮権を取るのは些か首を傾げるし、海兵隊の若い少尉が一番血気盛んで危なっかしいのも単純過ぎると同意しかねた。

シナトラには敵陣地内で手術するという見せ場が用意されているが、そこまで尺を使う必要があったかとも思う。確かに、そこ以外で衛生下士官の見せ場はないのだから頷きざるを得ないし、それ以降、日米が相互理解を深めて行く重要な場面でもあるからだろうが。

出演陣は抑えめの主役シナトラゆえに他の俳優は色がないアメリカ側。それに対し、日本側は三橋達也の隊長がいかにも彼らしい正統派演技で押してくる。

中でも特筆すべきは、ほぼ台詞を発しないが存在感抜群で、登場すると画面を掻っ攫うのが落語家の春風亭柳朝である。流石に上手い落語家だけあり身振りや呼吸で注目させる力量は大したもので、息抜きの場面なのでほっこりする。

それに特撮ファンには怪獣はでてこないが円谷英二による、いかにも彼の特色がでた場面も素晴らしい。

アメリカに一歩も引けを取らずに奮闘した俳優や特技監督の日本側に敬意を表したい。

ただし、相互理解の過程で日米将校の回想シーンで取って付けたように女性が登場して流れを分断したりするのでトータル的には佳作と称せない出来栄えではあるのだが。