街は自衛する  – LA CITTA SI DIFFENDE (1951年)

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スタッフ
監督:ピエトロ・ジェルミ
製作:カルロ・チヴァレッロ
脚本:フェデリコ・フェリーニ、T・ピネッリ、G・マンジョーネ
撮影:カルロ・モントゥオーリ
音楽:カルロ・ルスツケリ

キャスト
マルキ / ポール・ミュラー
レアンドリ / レナート・バルディーニ
ダニエラ / ジーナ・ロロブリジーダ
シロージ / ファウスト・トゥッチ
リーナ / コセッタ・グレコ
トーシ / エンツォ・マッジオ
警部 / ジュゼッペ・キンニーチ
密航船船長 / ヴィンチェンツォ・トッチ
肖像画の女性 / タマーラ・リース

日本公開: 1952年
製作国: イタリア チネス作品
配給: イタリフィルム、松竹洋配


あらすじとコメント

イタリアの小市民ばかりを描いた監督ピエトロ・ジェルミ。今回は小市民ながら犯罪に走る男たちと彼らの取り巻きを描くドラマ。

イタリア、ローマ

サッカーの試合が開催されている競技場内で、売上金強奪事件が起きていた。

犯人は貧乏画家のマルキ(ポール・ミュラー)、元プロサッカー選手レアンドリ(レナート・バルディーニ)、家族のためと参加を決めた元労働者ジロージ(ファウスト・トゥッチ)、刺激に飢えた青年トーシ(エンツォ・マッジオ)の四名。

全員が初犯であり、かなり荒っぽい犯行だった。ゆえに直後、警察に追われる羽目に陥り、計画と違って各々が別々に逃げるしかなくなった。金を詰めたトランクは二個で、一つはマルキが駅の手荷物預かり所に預け、もうひとつはトーンが持って逃げたが、バラバラになったことから不安を感じ公園の噴水に投げ捨ててしまった。

捜査に当たる警察は手口から前科者集団ではないと断定するも、ゆえに犯人たちの特定が出来ず・・・

犯罪に走った四人組の末路を描くスリラー作。

素人集団だが運良くというか、警察の怠慢から一応逃げ切ってしまう。

しかし、全員が別々になったことから疑心暗鬼に陥り互いを探し歩き、結果、自分らで首を絞め合うという展開。

ピエトロ・ジェルミ演出はかなりシャープで、完全に前年に製作されたジョン・ヒューストンの骨太佳作「アスファルト・ジャングル」(1950)にインスパイアされていると思いざるを得ない。

他にもジュールス・ダッシン監督によるセミ・ドキュメンタリー犯罪映画の秀作「裸の町」(1948)の影響をも感じさせる演出法と設定をも垣間見させる。

悪く言えば「パクリ」とも受け取れるが場所が「ローマ」という地域性と激情型人間の多いイタリア人気質が相まって、飽きさせずに観て行けるのは間違いなく監督の力量である。

登場人物誰もが「市井の人間」ばかりであり、ヒーローも存在せず、突拍子もないご都合主義的展開もない。

ただ、犯罪は上手くは行かないという正調映画でもあり、また手を染めても割に合わないという啓蒙映画でもある。

それでも犯罪者四者四様の結末は誰もが違い、それぞれの個性を際立たせるので何とも妙味がある。

ジェルミ作品は人情系のメロドラマが多いが本作は異色であり、脚本にはフェデリコ・フェリーニが参加していることもプラスに働いていると感じる。

結果、人情ドラマとはまったく違う内容ながら、何ともテンポの良い展開で観やすい犯罪系人間ドラマに仕上がっている。

余談雑談 2025年10月18日
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