刑事物語 東京の迷路   昭和34年(1959年)

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スタッフ
監督:小杉勇
企画:柳川武夫
脚本:野々晃
撮影:中尾利太郎
音楽:小杉太一郎

キャスト
佐藤源造 / 益田喜頓
村岡マリ / 香月美奈子
君塚秀夫 / 青山恭二
佐藤保郎 / 待田京介
旅館女将春子 / 廣岡三栄子
水田 / 浜村純
小渕 / 松本染升
木下捜査課長 / 深水吉衛
道子 / 久木登紀子
バン助 / 黒木廣美

製作国: 日本
配給: 日活


あらすじとコメント

東京の下町を舞台にした刑事ドラマ。興隆期のTV刑事ドラマにかなりの影響を与えた映画シリーズの第一作。

東京、南千住あたり

小さな川にかかる橋で客引きをしていた売笑婦がふらついて歩く男に声を掛けた。すると男は突然倒れ込んで死んでしまう。すぐに警察が駆け付けると銃で撃たれた傷痕があり、被害者は城南署の南刑事だと判明。

翌朝、城南署と本庁による合同捜査本部が立ち上げられた。その中に所轄署の佐藤源造刑事(益田喜頓)、本庁勤務の息子佐藤保郎(待田京介)がいた。死亡が確認された橋の向こうがドヤ街であり、怪しげな人間が大勢いる地帯でその中に犯人が潜伏している可能性が高いと。

捜査は拳銃の行方、殺害された刑事の怨恨関係の有無、死亡時に握っていた女性のイヤリングの片方の持ち主特定の三本に絞られた。

佐藤らはそれぞれコンビを組み、捜査に当たった・・・

刑事殺害の真相を追う刑事ドラマ。

東京下町にある「山谷ドヤ街」を中心に描かれる人間模様を散りばめた内容で、計10本製作されたシリーズの第1作目。

監督は俳優でもある小杉勇で、主演は元漫才音楽トリオ「あきれたボーイズ」出身の益田喜頓。

上映時間は50分で丁度CM入り一時間のTV刑事ドラマと同じ尺。低予算でもあり、ロケが多用されるスタイルだが、ワイドスクリーンでの制作が一応、二本立上映の「添え物」の方だが劇映画と分かる。

内容は気を衒うことなくありがちな進行。それでもラストは人情ドラマの他に銃撃戦も登場してきて、それなりにメリハリがある。

主演の益田喜頓演じるヴェテラン刑事が、いかにも苦労人的で人情派ゆえの飄々とした立振る舞いが、何とも上手い。

一本気で直情型の若手との緩急のついたコンビも以後の刑事ドラマに継承されていくし、地道な捜査で横道に脱線させつつ、それが真相へと継がっていく展開も、短い上映時間ゆえに端折り進行ではあるが一時間ドラマとしては上手く処理されている。

しかし何といっても今観て驚くのは当時の東京の街並みと風情である。

それこそ白黒ながら動く映像での『失われた東京』がふんだんに登場してくる。

メインの舞台となる『山谷ドヤ街』は浅草と荒川区南千住の間にある場所で、道路は舗装されておらず、本当の掘っ立て小屋の簡易宿泊所が並ぶ。

当時のある意味、ランドマークである南千住の二基のガスタンク、その足元にある貨物専用の操作場、そこを走るSLでのアクションがヤマ場になる。

更には捜査過程で描かれるのは総武線「錦糸町」駅。駅前を通る京葉道路の道路幅は同じだが駅舎から ロータリーなどまったく違うので驚くばかり。

特段、印象に残る作品ではないが当時の日本人のリアルな生活と貧困さが生む「やさぐれ感」など見るべきものがある小品。

余談雑談+ 2025年12月12日
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