一寸だけ、嬉しい出来事が。先立ての晴れの日。午前中に実家近くで用事があり、ランチは、久々そっち方面でと思った。
とはいってもお気に入りの食堂は、足の骨折前のことだから、4月初めには休業してた。尤も、当時は都の休業要請協力と謳っていたのだが、以後も一切、再開せずだった。ついに閉業したのかと。
実家から1分の場所あるブラジル料理店は移動販売にシフトしていて、格安ランチはとっくに中止。
更には、中国成都出身の夫婦が営んでいた四川料理店。夏は「四川冷麺」で、冬は「ネギチャーシュー麺」という激辛が売り物の店。ところが、そこも夏頃からランチ休業になった。
少し離れた路地にあった洋食屋もコロナ禍で撤退し、その近くのイタリアンも12時からだ。つまり、早めに食べたい自分には、都合良い店がなかった。
で、用事は11時少し前に終了。さてさて、どうするか。先ずは11時開店だった四川中華屋へ。おっと、開いているぞ。
ところが、店頭メニューには随分と種類が減っていて、激辛系は壊滅状態。もしかして経営者が変更かな。
続いてイタリア料理屋。おや、ここも早めに開いている。店頭の手書き看板を見るとランチパスタのメニューは食指が動くものがない。
困ったな。とくれば、少し離れた場所でおばちゃんが一人で営む食堂か。リハビリも兼ねて徒歩で向かおうと決めた。
どうせなら少し遠回りして、再度、お気に入りの食堂をチェックして通って行くか。
するとどうだ。食堂前に暖簾が掛かっていた。何ら躊躇なくドアを開けた。
半年近く振り。店内は変わらず、メニュー数も変化なし。反射的に大瓶ビールに、「まぐろのあら煮」を注文。
それと最後に行ったときに一度だけ食べ、80円という料金と量の差に驚いた「納豆」も頼んだ。
そこはオバサン衆が営む店。暫く休んでましたねと尋くと足を骨折して二ヶ月お休み。でも、リハビリの甲斐あって歩けるようになって再開、と。
妙に嬉しくなった。何故なら、こちとらも骨折だ。時期もシンクロしてるし、部位も同じでリハビリ法も同じ。
何よりも、これで通える店が一軒復活だ。
晴れた日に、曇りガラスのドアから差し込む光。後ろめたさなど一切感じなく飲める愉悦。本当にオバチャンの骨折が治って良かったな。
でもな、自分の骨折はどうなのよ、てか。