キャプテン・ザ・ヒーロー/悪人は許さない – THE RETURN OF CAPTAIN INVINCIBLE(1983年)

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スタッフ
監督:フィリップ・モーラ
製作:アンドリュー・ガティ
脚本:スティーヴン・E・デ・スーザ、A・ガティ
撮影:マイク・モロイ
音楽:ウィリアム・モツィング

キャスト
キャプテン・インヴィシブル / アラン・アーキン
ミスター・ミッドナイト / クリストファー・リー
ペティ / ケイト・フィッツパトリック
合衆国大統領 / マイケル・ペイト
タッパー / ビル・ハンター
イタリア人ビジネスマン / デヴィッド・アーグ
デリのオーナー / ジョン・ブルサール
ツアー・コンダクター / チェルシー・ブラウン
イタリア人 / マックス・カーレン

日本公開: 1988年
製作国: オーストラリア セヴン・キィズ・プロ作品
配給: コムストック


あらすじとコメント

戦争映画だがミュージカル調という異質の「素晴らしき戦争」(1969)。今回も異質なミュージカルにしてみる。ヒーローの再生物語を描く、中々どうして面白い作品。

オーストラリア、シドニー禁酒法時代から第二次大戦終了までアメリカを守った無敵の英雄キャプテン・インヴィシブル(アラン・アーキン)。しかし、戦後はソ連寄りと批判を受け、暴力や騒乱罪で起訴されて以降は姿を消してしまった。

今の彼はオーストラリアの辺鄙な場所でアル中の廃人と成り果てている。そんな折、何者かに人間の欲望を喚起させる秘密兵器『催眠銃』が盗まれた。アメリカ大統領(マイケル・ペイト)は、自分の子供時代に苦しい時は助けに来ると直接約束してくれたキャプテンの言葉を信じ、全世界に向け彼を探しだすように命じた。

それを知ったシドニー警察の新人女性刑事ペティ(ケイト・フィッツパトリック)は、スラム街で彼を見掛けたことを思いだし・・・

何とも哀愁漂う、通好みの渋い異色ドラマ。

かつては英雄だが、罠にはめられ『人を信じる』ことしか知らなかったことが災いして絶望から自棄になり引退した廃人。

冒頭は白黒ニュース映画で彼の活躍をサイレント映画のように笑いを散りばめいくつも描き、結果、公聴会で青天の霹靂となる姿を面白く描く。

そこでタイトルとなるのだが、これが雄大な山の絶壁の突端で酔った勢いで転んだりさせるから、今度は心臓が止まりそうになるスリルへと流れる。

続いて、厭世観に満ちた落ちぶれ中年男を女性刑事や科学者たちが合衆国のお歴々の見つめる前で、何とか蘇生というか再生させるべく特訓を科していく。

そこで今度は苦笑いを禁じ得ず。何せ、鳥目線で撮影されたスクリーンの前でマントを付け飛ぶ感覚を思い出させようとしたり、君なら出来ると洗脳しようとしたりするのだ。

そこに持ってきて敵がドラキュラ俳優として有名であったクリストファー・リーなのだ。しかも、彼に唄を歌わせたり、踊らせたりするから驚天動地。

今ではダーク・ヒーローや正義の味方の苦悩など描かれるようになったが、当時としては目の付け所が面白いと感じたし、それを当然のミュージカル調で描いたり、くだらないギャグを畳み掛けたりとメリハリの付いた進行で好感が持てた。

それでいて、どこか哀愁が積もってきたり、おじさん世代の切り捨てられ方に共感を覚えたりと、何とも複雑な心情ながら結果的に的を射ていると微笑んだ。

再生特訓の場面や「博士の異常な愛情」(1964)を連想させる将軍、自由の女神の最上階観覧室の使い方、主人公と悪党が最後に対峙する場面でのトラップの三段オチや、酒飲みは思わずニヤリとする楽曲など、大爆笑の連続ではないが、捨て難くて密かにお気に入り箱に入れたくなる作品である。

余談雑談 2022年10月8日
TV番組は秋の改変期である。 とは言っても、今や話題なのは配信番組系。課金のやつである。ところが、そもそも「課金」と聞いただけで拒絶反応を示し、背筋が凍る性分。 何せ、レンタルビデオのチェーン店でさえ、割引時しか借りないし、ここで扱う以外に