映画好きの後輩の勧めで、生まれて初めて、フィンランド製の戦争映画を見た。
「ウィンター・ウォー 極寒の攻防戦」(1989)という作品で、第二次大戦直前のフィンランド兵とソ連軍の戦いを描いたものだが、制服も支給されないまま、義勇兵的に招集されたフィンランド人が数でも武器でも圧倒的に劣勢の中で、戦闘を繰り広げるという作品。
スピルバーグが戦争映画の歴史を変えた「プライべート・ライアン」(1998)は、本作に影響を受けたと思われるほど、リアルな戦場場面が登場して驚いた。要は、それほど気色悪いシーンが連続する。
当然、スタッフ、キャスト等、誰も知らず、言語もまったく聞き慣れないので、逆にリアル感を増幅させたのかもしれない。
それに第二次大戦では、フィンランドは日独伊の枢軸国側であったことを喚起させてもくれた。以前から、隣国ソ連の脅威に怯える国であり、ゆえに現在でも、親日家が多い国でもある。
映画には関係ないが、まだ ロシアでなく、ソ連だった時代。フィンランドを旅行で訪れた知人が、夜、一人で街を歩いていたら、突然、ヘタな英語で「日本人か」と、二メートル近い巨漢の壮年男性数名に話しかけられ、恐る恐る頷くと、否応がなく腕を掴まれ、どこかに連行されたと。彼は死を覚悟したが、何のことはない、酒場に連れていかれ、一杯奢られたのだとか。
彼らは口を揃え、日本は大好きだ。世界で唯一、ソ連を破った国だから、是非、一度は日本人に酒を奢りたかったと日露戦争の話題を出したとか。
それほど、ソ連嫌いの国だったのだと。
やはり巨大な国に隣接する人々は、常に脅威にさらされ、遺伝子の中に、嫌悪感を引き継ぐ人間も多いだろうか。
成程、戦争はなくならない訳か。