2005年の7月に発刊して以来、100本の映画を紹介したことになる。皆、好きな作品だし、何かしらの思い入れと共に思い出もある。
時々、読者から「あの作品を書け」とか、「この映画を扱って」というご意見を頂戴する。見ていただいているという証左なので、有難い限りだ。ただ、その作品の好き嫌いは別なので、お茶を濁すことが多い。
また、扱う作品が旧作ばかりなので、ビデオやDVDがでているかどうかの情報を加えたらどうかという意見も頂戴する。そのほうが親切だろう、と。しかし、映画館で育った年代からすれば、簡単に情報を得られる時代でもなかったので、気になる作品をどうにかして調べるということも楽しみだった。それは諸先輩たちの感想だったり、古本屋で立ち読みする映画雑誌だったり、銭湯などで映画のポスターの横に貼ってある地元名画座の今月のスケジュール一覧だったりした。
だれでもハズレは見たくない。だから事前に情報が欲しい。解らないこともない。確かに、食指が動かされるタイトルや、ド派手なポスターだけで判断し、だまされたと思った作品も数多い。しかし、そういった愚作にも数多く当たるから、見る眼が肥えていくのではないだろうか。簡単、便利が当り前の現代だからこそ、ひとつを見ればすべてが解るのではなく、興味のある作品には自分から探しにいくということが、少しでもその鑑賞作品に参加することになるのではないかと思っている。
何をこの時代に、と異を唱える方もいるだろう。でも、これが自分のスタイルだ。