殺意の週末 – THE LADY IN THE CAR WITH GLASSES AND A GUN(1970年)

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スタッフ
監督:アナトール・リトヴァク
製作:レイモン・ダノン、A・リトヴァク
脚本:リチャード・ハリス、エレノア・ベリー
撮影:クロード・ルノワール
音楽:ミシェル・ルグラン

キャスト
ダニエレ / サマンサ・エッガー
コールドウェル / オリヴァー・リード
アニタ / ステファーヌ・オードラン
イヴ・マリー / ジョン・マッケナリー
マニュエル / マルセル・ボズフィ
背の高い女性 / ビリー・ディクソン
イヴァン / ベルナール・フレッソン
医者 / ジャック・ファブリ
トール / アンドレ・オウマンスキー

日本公開: 1971年
製作国: フランス、イギリス A・リトヴァク・プロ作品
配給: コロンビア


あらすじとコメント

アクションやサスペンス映画で実力を発揮するアナトール・リトヴァク監督。今回はOLがフランスで巻き込まれるスリラー。

フランス、パリ

広告代理店に勤務するダニエレ(サマンサ・エッガー)は、社長コールドウェル(オリヴァー・リード)に資料が必要になったので社長宅で今夜中にまとめるように命じられる。社長は翌朝スイスのジュネーヴへの出張が決まり、その資料が必要だからだと。

何とか朝までに資料作りを終えると社長は妻と娘を同伴すると言い、そのまま空港まで車で送っていけと。まったく金持ちは勝手だと思いながら空港まで送り届け、パリ市街に戻ろうとしたダニエレだが、高速の降り口を間違えてリヨン方面に走行してしまった。そこでふと考えが浮かんだ。折角の週末でもあるしこのまま車を飛ばして楽しむかと。何せ車はアメリカのマーキューリー・コンパーティブルで一生乗れる車ではないし。

しばらく車を飛ばして、とある田舎町で信号待ちをしていると見知らぬカフェのマダムが近付いてきて昨日忘れていったコートを返すわね、と言われる。不審に思った彼女は無視してその場を去った。しばらく走りガソリンスタンドに立ち寄るダニエレ。だが、トイレに入ると突然頭を殴打され気を失ってしまう。

意識が戻り、手も痛めていたので店主に不審者目撃と手当てを依頼するが、トイレに行く前から包帯をしていたはずだと言われ・・・

犯罪に巻き込まれるOLを描くサスペンス・スリラー。

急な仕事を終えちょっとしたご褒美の週末ドライブだと、アメリカ製のオープン・カーで南仏に向う。しかし、行く先々で昨日も見たと言われ困惑。途中から矢鱈と馴れ馴れしい若者も登場してきてヒロインに付き纏ってくる。

不審な出来事の連続に不安が募るが、そのくせ心のどこかで週末アヴァンチュールも期待するから当然話はややこしくなる。

その過程でトランクになかったはずの死体が入っていたり、死体が誰であるかを特定し手掛かり探しとばかりに死者の家まで行ったりするから更に魔の手が迫ってくる展開。

ヒロインはイギリス女性で彼女が乗るのはアメリカ製の豪奢なオープンカーでもあるから目立つし、そう何台もフランスの田舎を走っているタイプでもない。

では、ヒロインは一体誰に間違えられているのか。しかも何故死体まででて来るのか。

スリラーとしてはミステリアスな王道的展開。ただ、妙に警官の職質が多いとか、巻き込まれ型のヒロインの危機の連続描写に些か「あざとさ」を感じる。

ヒロインは一体何の事件なり陰謀に巻き込まれたのか。観客側も想像を巡らせて観て行くし、落しどころに興味も行くだろう。

ただし、その『落とし所』に首を傾げた。成程、ヒロインでなければいけなかったと思わせる設定ではあるのだが。

更には終盤の陰謀者と直接対峙したときに、相手から銃を向けられながら揚々とネタバラシをされる展開は無理がありすぎる。

何とも説明しすぎているし、それを一々映像で追いかけるように整合性を取り繕おうと描いていくから興が削がれた。

キャストの弱さやら、意表を突く映像転換も少なく、内容も成程と思わせるよりも無理矢理感が強いスリラー作。

余談雑談 2024年4月27日
黄金週間の入り口。 未だに、いつを休めば10連休とか報道し、どれだけ各交通機関が混んでいるかと仰々しく伝えるニュース系番組。 それでも混んでいる時期に混んでいる場所に出掛けるしかないのか、横並びに安定感を求めるのが安寧という価値観なのかは分