桂由美が亡くなった。
日本の結婚披露宴が和装から洋装を取り入れる流行を推進させた功績は誰もが知るところ。ある意味で開拓者の面も持っていた。
そんな彼女が、もう一回り以上前だが、TVでした発言を鮮明に覚えている。結婚式のスタイルについての特集だった。
自分がデザインしたウェディングドレスを着たいと有難いこと言っていただける花嫁が多いと。既にブランドを確立してたからだろうし、披露宴で着れば花嫁にしろ花婿側にしろ見栄が張れるからでもあろう。ただ、それでも好き嫌いを言う人が多いと。
一生に一度のことだし出来るだけ合わせるようにしますけど、と少し困惑の態で話した。当時は芸能人などの派手な結婚式が喧噪されていた時期で、女優の誰それが着たのと同じとか、更に色を変えてここをこうアレンジしてとか。金額の問題かなとそのときは想像をしたが、そうではないという風情でもあった。
更に邪推すれば、素人のくせに有名人、否やそれ以上の見栄を張りたいのかということだろう。それを優しくTV向けに答えていたのではと。
まあ、今は一生に一度とは限らないし、披露宴すらしないというのも風潮らしい。確かに何度もして都度ご祝儀を貰おうとする人もいるらしいし、未婚のまま人生を終える人は払い損ということにもなる。平等性が担保されずに、なんとなく疎遠にもなっていくのかもしれない。
同様に、葬式だって家族内や近親者のみで、というのも増加だ。兄弟だって少ないだろうし、遠いところから来させるのも気が引けるという考えもある。そうやって親戚一同の縁が切れて行く。
結果として少子化だって当然だろうし、昔みたいな保険の勧誘員といった「見合い相手紹介業」兼務者を介してででなく、今は自分でマッチングアプリとかで探すのが普通。勝手に盛って自分で書き込むのとは違い、その人となりを見て紹介者を判断し家族構成から血液型、干支などを考慮したものだ。歩くマッチングアプリてな感じで仕事に繋げていた。
相手の要望に「合わせる」とは「会わせる」という意味も含むんだろうな。まあ、結婚が正しいとか楽しいかは別として、間違いなくこのまま少子化が進み、個人の特性なり価値観が優先され続けていくだろう。でもって若者が晩年を迎えてくると誰にどのように看取られるのだろうか。
あっという間に来るぞ。