和装が脚光を浴びている。ふと、都会の街なかで見かけると心が和む。しかし、逆に、大学生などの腰に手拭い、足は下駄というスタイルは見事に減った。
「切れはせぬかと鼻緒をしらべ そっと揃えるぬしの下駄」
今回の都々逸は、慎ましい女心とでもいえようか。妻ではなく、きっと、まだ結ばれぬ相手か、愛人の立場であろう。
しかし、現代では、『鼻緒』といってもピンと来ない人も多いのだろうか。昔は、身につけるものなど幾つもなく、また、簡単に買い替えられるはずもなく、何度も修繕しつつ使った。
下駄も同じである。映画などでも、鼻緒が切れ、それを手拭いを細く裂いて直すというシーンをよく見かけた。そこに、ふと咲くロマンス。これが、タオルなどでは、絵にならない。
逆に和装を今風に楽しむ人間たちには、敢えて違う鼻緒に挿げ替えて楽しむぐらいの洒落心があるのだろうか。