明日でアナログ放送が終る。「地デジ化」していないと、本当に何も見られなくなるのだろうか。
先立て、行きつけの酒場へ行った時のこと。そこのテレビは、煤けて汚れたブラウン管TV。何でも、変換依頼している近所の電気店が工事に来てくれないので、アナログ受信のまま。
流れていたのは、下町酒場の定番である「大相撲中継」であった。だが、画面の四分の一の大きさで『アナログ放送終了まで後○日』と表示が出ている。見苦しいが、これも告知なのだろう。
考えれば、当日は大相撲の千秋楽である。きっと24日で終了なので、それを見終ってから映らなくなると思うのが人の常。すると、取り組みの間で、突然、画面が切り替わった。何と、ご丁寧にも、当日は昼12時から「今日でアナログ放送は終了」という文字が画面全体を覆い、相撲は見られませんだと。
流石の国営放送である。国策でもあるし、当然の対応なのだろう。成程、ある程度、情報操作なり、誘導をしないと国民は絶対にパニックに陥ると確信している、てなお偉いさんの発言もあったと記憶している。
しかし、素直に受信料を払っていても、移行していないと千秋楽は見られない。駆け込み需要もあり、家電量販店やら、工事屋も、てんてこ舞なのは想像に難くない。それでも、当日までに地デジ化を完了させられないのは、受信者の責任。
そんな画面を見ながら、真っ先に頭に浮かんだのは、脚本家の倉本聰が書いた本のタイトル「さらばテレビジョン」だ。
時代は流れゆく。取り残されるのは、素直に生き、鷹揚に構えた人生のベテランばかりなのだろうか。