殺しの許可証 – PERMISSION TO KILL(1975)

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スタッフ
監督:シリル・フランケル
製作:ポール・ミルズ
脚本:ロビン・エストリッジ
撮影:フレディ・ヤング
音楽:リチャード・ロドニー・ベネット

キャスト
カーティス / ダーク・ボガード
カティーナ / エヴァ・ガードナー
ディアキム / ベキム・フェーミュ
ロード / ティモシー・ダルトン
メリッサ / ニコール・カルファン
スコット / フレデリック・フォーサイス
ミューラー / クラウス・ヴィルドボルツ
ジェニングス / アンソニー・ダットン
リリィ / ペギー・シンクレア

日本公開: 1975年
製作国: イギリス、オーストリア サッシャ作品
配給: ワーナー


あらすじとコメント

ダーク・ボガードが諜報員を演じた作品で繋げた。コメディ要素を含んだ、使い捨てにされる一般人の巻き込まれ型の作品ではなく、逆に、一般人を使い捨てにするような、クールで非情な世界を描いた作品。

オーストリア、グムンデン西側諜報局のカーティス(ダーク・ボガード)と名乗る男に、一見、脈絡のない五人の人間が集められていた。

アルジェリア生まれの女性テロリスト、メリッサは仲間の解放を条件に。イギリス外務省勤務のロード(ティモシー・ダルトン)は同性愛者スキャンダルをネタに。何故か、フランスに住む8歳の少年。

そしてイタリア人女性カティーナ(エヴァ・ガードナー)とアメリカ人新聞記者スコット(フレデリック・フォーサイス)の二人だけには、彼女らの知人であるディアキム(ベキム・フェーミュ)に関しての協力要請だと打ち明けた。

どうやらカーティスの目的は、長らく海外生活をしているが、祖国の将来を懸念し、帰国して自由独立運動を起こそうとしてるディアキムの帰還を阻止することのようである。しかし、何故、西側の人間が、自由世界への編入の可能性を遮るのか。

そして、他の三人は、何のための人員なのか・・・

ミステリー仕立てで進行する非情な世界を描くスパイ・スリラー。

主人公に脅迫されて渋々呼応した人間と、目的を明かさずに連れてこられた人間たち。当然、全員に監視員が張り付いている。

そんな全員に何らかの接点はあるのか。主人公の真の目的は何であるのかが、寒いオーストリアという場所で、謎のベールが一枚また一枚と剥がされていく進行を見せる。

女性テロリストは別としても、他は一般人である人間たちを、まるでチェスの駒の如く欺き、利用していくクールな主人公。

しかし、中には主人公のスタンスには疑問があると感じ、他の関係者を探りだそうとしたり、更に、主人公の裏をかいて、その上を行こうとする人間まででてくる。

そんな人間たちの行動をどこまで見破っているのか。それともそれすら掌中にあるのかと、中々、見応えのある作品で、全く読めない主人公をボガードが好演している。何せ、主人公は家族にまで嘘を付き通す男でもあるのだ。

中盤から二転三転するストーリィ展開も妙味がある。ただ、もしかして単純に監督の力量のなさかもしれないが、短いシーンで繋いでいく作劇は観る側を多少混乱させるのも事実。

しかし、それが登場人物らの、複雑なのか、単純な心変わりなのかを計り兼ねさせ、逆に深読みさせくれる。

もし、そこまで解った上での作劇であれば、ある意味、天晴れ。

ミステリーとしても、納得できなくもない内容で、そこそこの著名俳優を起用し、誰がどうするとか、この配役は裏があるのかとか、映画ファンの心理をも、一応は、くすぐってくれる。

ラストに向かって高まる緊張感と、後味の決して良くないエンディングまで楽しめるが、個人的には、そのエンディングでは、後々、別な問題が生じないかと心配になるのだが、それも設定の妙として、わざと制作されたのであれば、続編が観たいとも思った。

しかし、続編がない理由は色々と推察できるが、結局、それが本作のすべてを表しているのかもしれない。

余談雑談 2015年5月2日
気が付くと黄金週間真っ最中である。ずっと天気も良く、地元の有名観光地は連日、閉口するほどの人出。 なので、こちらは例年通り、DVDをしこたま借り込み、内弁慶を決め込もうと。で、わざわざ渋谷の大手レンタル店まで出向いたが、考えていることが同じ