余談雑談 2015年11月28日

原節子の訃報に驚いた。未だ生きていたのかということと、何故、公になったのかという点で。

引退して半世紀。隠し撮りが何回か発表された以外は、一切、公には登場せず、伝説として行き抜いた『女優』。

マスメディアが色々と接触を試みたが、頑なに拒否し、盗み撮り写真の真偽や、あらぬ噂についても一切無視を通した。

見事である。男尊女卑が当たり前に時代に、映画界で活躍し、それでいてプライベートを一切見せない、あくまでも『映画女優』としての生き様。

携帯やスマートフォンで、市井の人間誰もが「タレコミ屋」と化している現代。相手のことなど考えずに、当たり前として写真を撮り、投稿したりする。テレビや映画で見たキャラを鵜呑みにし、芸人や俳優の本当の人間性などお構いなしに、気安く握手を求め、写真に一緒に収まろうとする。

偏った見方だが、そういうことを平気でするのは、若者以外、大抵良い歳をした女性たちという印象が強い。

本当に虐げられてきたからこそ、良い歳になって自分を開放して、自由を謳歌しているのだろうか。まさか、自分に都合の良いときだけ、若い頃に虐げられてきたとか仰ることはないよねと信じたい。

ただ、そういう人間があちらこちらで目立つからこそ、原節子の強固なる意思で完全隠遁を貫き通した人生に敬意を表したい。

正に伝説であり、天晴れな最期の『映画女優』。私生活を一切、明かさないことが、一般人からすると夢を見続けられたし、気安く近付き難いオーラを醸していたことだろう。否や、完全にオーラを消し、そこいらの老婆として街を闊歩していたのか。

どちらにせよ、真の映画女優であれば、オーラを自在に変られたことだろう。実際のことは知る由もない。

しかし、伝説のまま終わった人生は、日本の映画界やTV界の今を生きる人間らに、どのように響くのだろうか。

女性が職業なりのキャリアを積みながら生きることが本当に大変だった時代に、スクリーンから輝く笑顔でこちらを見つめ、日本中の人間を虜にした伝説に、心から敬意を表したい。

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