シーラ号の謎 – THE LAST OF SHEILA(1973年)

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スタッフ
監督:ハーバート・ロス
製作:ハーバート・ロス
脚本:アンソニー・パーキンス、S・ソンドハイム
撮影:ジェリー・タービン
音楽:ビリー・ゴールデンバーグ

キャスト
グリーン / ジェームス・コバーン
トム / リチャード・ベンジャミン
フィリップ / ジェームス・メイソン
クリスティーヌ / ダイアン・キャノン
アリス / ラクエル・ウェルチ
アンソニー / イアン・マクシェーン
リー / ジョーン・ハケット
シーラ / イヴォンヌ・ロメイン
船長 / ロバート・ロッシ

日本公開: 1973年
製作国: アメリカ ワーナー作品
配給: ワーナー


あらすじとコメント

前回は豪華ヨットでのミステリアスな雰囲気が印象に残った「パンドラ」(1950)を扱った。そこで相手役を演じたのがイギリス系俳優のジェームス・メイソン。今回も彼が出演した、豪華ヨットで繰り広げられるミステリーを選んだ。

フランス、カンヌハリウッドの映画プロデューサーグリーン(ジェームス・コバーン)は、次回作の準備と称し、自前の豪華ヨットで一週間のクルーズにでて、ゲームでもしながら楽しもうと6人の映画関係者を招待した。

脚本家トム(リチャード・ベンジャミン)と金持ちの妻、落ち目の監督フィリップ(ジェームス・メイソン)、人気女優アリス(ラクエル・ウェルチ)とヒモの夫に敏腕で有名なタレント・エージェントのクリスティーヌが喜んでやって来た。

だが、彼らはヨットの船名を見て怪訝な顔になる。船名は『シーラ号』で、数年前にひき逃げ事故で死亡していたグリーンの妻の名前だったからだ。そんなことは気にするなと笑いながら乗船を勧めるグリーン。

すぐにシャンパンが振る舞われ、そこで彼は航海を通して一つのゲームをしようと提案してきた・・・

妻の死に関する真相と真犯人探しを画策する映画関係者を描くミステリー。

数年前、口論の末に飛びだした妻が事故死してしまった主人公。業界人らしく鷹揚に振る舞うのだが、真犯人の目星がついたのかもしれない。

そこで容疑者を含む関係者6名を呼びだして推理劇を始める。

とはいっても、通常のセオリーでは、容疑者各々が勝手な思わせ振り的態度を取り、観客をミスリードしながら、最終的に一ケ所に集合して暴露というスタイルが多い。

本作は少し違い、一週間のクルージングをしながら、あくまでゲームとして、参加者各人に犯人を推理させようとしていく点。

先ずは各々に一枚づつカードが配られる。「密告者」、「幼児性愛者」、「前科者」、「ホモセクシャル」、「万引犯」、そして「轢き逃げ犯」。

ただし、無作為に配られているので貰った人間が該当者ではない。だが、乗船客には、各々思い当たるフシもありそうで、これは誰それだなと推理していく展開。

しかも、招待者はヒントをだし、夜は上陸し、そこで、そのカードの意味する人物を教えるという、いかにもヤラシく、もったいぶった笑みを浮かべる。

ところが、想定外のことが起き、死人まででてくるに及んで、参加者たちは混乱していく。

成程、練られた展開ではある。しかも、参加者は映画関係者という、常人とは違う感性なり価値観を持つ人間ばかり。

逆に、映画関係というプロ意識があり、それぞれが探偵映画よろしく俄か探偵として名推理をくりだしてくる。特定の原作はなくオリジナル脚本で、ライターの一人に俳優のアンソニー・パーキンスの名前があるが、本人は出演していない。

客船クルーズのように、青く広がる海という解放感を見せつつ、毎日上陸を楽しむという旅情もありながら、どこか閉鎖的な船内という限定スペースの印象を強くしようとする作劇。

面白い着想と、当時それなりの役者を起用しているのだが、どうにも中途半端さが漂う。海の広さと陸地と船内という関係性が上手く噛み合っていないと感じた。

中盤での衝撃の展開から、ラストへ集約していくオチがアガサ・クリスティを感じさせながら、どこか垢抜けたアメリカ映画の弱点を際立たせている。

様々なネタやヒントを散りばめていて、中々、練られた脚本なのでつまらなくはないのが救いの作品。

余談雑談 2021年8月7日
ワクチン接種も終わり、一応、旅先選定に勤しんでいた。ところが、ここに来て感染急拡大とかで、旅先候補に挙げていた場所が、初めて「蔓延防止」になりやがった。 結局、何処にも行けぬ日々が継続中のまま。何だか気力も失せ、その上、暑さに閉口し、不要不