一体、いつの番組なんだ。『テレビのチャンネルをガチャガチャと廻して』とは今は言わなくて、ザッピングしてたら東京ローカル局の番組で、何と「JET STREAM」なる番組を発見。
もしかして半世紀以上も続く長寿ラジオ番組のアレか、と思いチャンネルを合わせた。
結果、まさしくソレであった。しかもテレビで洋画を見ていた時代のファンには堪らないグレゴリー・ペックの吹替声優でお馴染の城達也版である。
簡単に海外に行けぬ時代の真夜中0時に、ジェット音と共に「ミスターロンリー」で始まり、『遠い地平線が消えて深々とした夜の闇に心を休める』と続く。
自らを『機長』と名乗り名曲をアレンジしムーディな楽団演奏で綴り、途中、海外の街角や海辺の太陽を連想させるナレーションが重なる。
何代も機長が変わりながら今でもラジオ放送が続いているのが驚きだが、自分の年齢には城達也がしっくりと来る。当然、それを意識してのTV放送だろうが、世界の国や地域を決めて、そこをイメージさせる有名曲に綺麗な風景画像だけを流し、余計な演出をしない。これもシニア世代を意識してだろう。
でも、調べてみて驚いた。何とこのTV放送は去年2021年の10月から始まったばかり。つまり、「新作」。確かに画像は美しい。それなのに城達也である。このギャップは『萌え』だな。
何年か前にこの番組のCDボックスが発売され、新聞の折り込みチラシでも散々宣伝されたが、わざわざ買うほどでもなかろうと。しかし世界規模で行動規制があり、簡単に海外旅行もできない現状。その旅心をくすぐるには絶好のタイミングだな。
映画やドラマからラジオにも興味が持った時期の自分に、これである。これは逆パターンで『音』だけのイメージ世界に映像が追加される。何だか行ったり来たり。
そういえばイタリアに取り憑かれたように行っていた時期に、やれ「北回り」は高いとか「南回り」は丸一日かかるぞと、どの道安い航空キャリアばかり探していたころ。
それが初めて高額のナショナルフラッグだったJALで訪伊する機内放送で、これを聞いた時には随分と自分も偉くなったなと泣きそうになった思い出がある。
でも、もう二度とイタリアに行くことはないだろうと思うと、別な感情が湧いてくるが。
だから、番組を録画して夜明け前の静寂が崩れるまで、見るとはなく、聞くとはなく流してボーっと珈琲を飲む。そして、さて今日も一日何もしないぞと決める。
海外など行けぬとも、まったくもって贅沢な余生だ。