喰いついたら放すな – NEVER LET GO(1960年)

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スタッフ
監督:ジョン・ギラーミン
製作:ピーター・デ・サリニー
脚本:アラン・ファルコナー
撮影:クリストファー・チャリス
音楽:ジョン・バリー

キャスト
カミングス / リチャード・トッド
メドウス / ピーター・セラーズ
アン / エリザベス・セラーズ
タワーズ / アダム・フェイス
ジャッキー / キャロル・ホワイト
トーマス警部 / ノエル・ウィルマン
クリフ / デヴィッド・ロッジ
バーンズ / マーヴィン・ジョンズ
リーガン / ナイジェル・ストック

日本公開: 1962年
製作国: イギリス インデペンデント・ピクチャーズ作品
配給: 大映


あらすじとコメント

ピーター・セラーズ出演作。ただし、コメディや怪演で魅せる作品ではなく、凄味のある悪役として存在感を醸した作品。

イギリス、ロンドン化粧品会社の営業カミングス(リチャード・トッド)は成績不振を払拭しようとローンを組み、無理して車を買った。これさえあれば縦横無尽に得意先へ出向き、細やかな営業ができて業績アップに直結すると。

ところが、たった一週間で会社の前に駐車していた車が若者たちの窃盗団によって盗まれてしまった。即座に警察に駆け込むが、その他の一件という扱いを受け消沈するカミングス。

ならばと彼は単独で動き始める。先ずは会社の前で新聞を売る顔見知りの老人に聞き込みをする。何かを知っている模様で、しどろもどろになる老人だったが深追いはするなと忠告してきた。執拗に食い下がるカミングスに若者たちの溜まり場であるバーの名前だけを教える老人。

何も考えずに向かう彼だったが・・・

車専門の窃盗団に無鉄砲に立ち向かう男を描くアクション作。

営業不振で起死回生のつもりで車を購入した主人公。どこか場当り的な直情型であり、思い込みも激しいタイプ。その性格だと負け犬組へまっしぐらてな印象もある。

一方の窃盗団はガレージを経営するセラーズをボスとして、拘置所から逃げてきた少女を愛人として飼い、若者たちに指令をだしては特定車種を盗んでこさせ改造して売り捌く根っからの悪党。

しかもどこか凄味のあるカリスマ性というか、異常性を醸す犯罪者。

窃盗団の一人とボスの愛人である少女が秘密の恋人だったり、主人公は主人公で、勝手な推測と思い込みで暴走し会社を解雇されるわ、家族との間にも隙間風が吹き始める展開。

序盤は、何とも当時のイギリスらしい、こじんまりとした態で進行するので、おやおやと思っていると、力も知性もない主人公の行動が次第にエスカレートし、証拠を積み重ねようとする警察にも迷惑をかけるわ、更に若いカップルをも巻き込み、結果としてボスを追い詰めていく展開には、おいおい意外に面白いぞと唸った。

監督は後に渡米し「タワーリング・インフェルノ」(1974)や「キング・コング」(1976)を手掛けるジョン・ギラーミン。

デビューしたての頃だが、キレのあるシャープな演出だし、音楽は「007」シリーズを手掛けるジョン・バリー。白黒スタンダードの小品だが、観客をミスリードさせたり惑わせるカッティングでスリルを加速させていく。

ただ、主人公がどうしてそこまで車にこだわるのかが不思議な気もするが、日本にだって、昔は憧れの高級車を買うのに三畳のアパートで毎日カップ麺をすすって乗っていたのもいるので、そういう人間には理解できるキャラクターなのかもしれない。

そう考えると主人公自身が『一人暴走族』てな印象も受けた。

小粒だが、イギリス映画らしい小気味良いアクション作。

余談雑談 2022年2月12日
一体、いつの番組なんだ。『テレビのチャンネルをガチャガチャと廻して』とは今は言わなくて、ザッピングしてたら東京ローカル局の番組で、何と「JET STREAM」なる番組を発見。 もしかして半世紀以上も続く長寿ラジオ番組のアレか、と思いチャンネ