スタッフ
監督:ジャック・ドノヒュー
製作:ウィリアム・ゲッツ
脚本:ロッド・サーリング
撮影:ウィリアム・ダニエルズ
音楽:デューク・エリントン
キャスト
ブリテン / フランク・シナトラ
ローザ / ヴィルナ・リージ
ロシター / トニー・フランシオーサ
モレノ / リチャード・コンテ
ラフナウアー / アルフ・シェリン
沿岸警備隊長 / ロバート・ホイ
船長 / マーレイ・マシソン
ラングレー / エロール・ジョン
トレンチ / ヴァル・エイヴリー
日本公開: 1966年
製作国: アメリカ セヴン・アーツ作品
配給: パラマウント
あらすじとコメント
「上流社会」(1956)でゴシップ誌の記者役を演じたフランク・シナトラ。その彼が主演した海洋アクションにする。意表を突く設定には妙味を感じる娯楽作。
西インド諸島 バハマ
元海軍士官ながら、現在はしがない釣り船業を営むブリテン(フランク・シナトラ)。借金もかさみ、いよいよ首も回らなくなってきたところに沈没船の財宝を探しているロシター(トニー・フランシオーサ)とローザ(ヴィルナ・リージ)たちから潜水仕事の依頼が来る。しかし今まで誰も探しだした者などおらず、単なる噂話だと一笑に付すが、金にはなる。
依頼を受け、古地図上の沈没地点へ潜るが、当然、スペイン艦船などあろうはずもない。しかし、代わりに1943年に沈んだ旧ドイツ海軍のUボートを発見する。
すると依頼者グループの中に大戦中にUボートの艦長をしていたラフナウアー(アルフ・シェリン)がいて・・・
豪華客船の襲撃計画を遂行する人間たちを描くアクション。
機械故障による航行不能から遺棄された古い潜水艦。つまり無傷で放置されていたのだ。
それを知った宝探しの連中が目的変更。潜水艦を修理して実在する豪華客船クィーンメリー号に搭載中の現金と金塊を奪おうとする。
何とも奇想天外な着想。厭世的な主人公のシナトラにどこか生意気な男と美女の三角関係も発生する。
当初は脇で静かだったドイツ人が潜水艦発見後、それこそ水を得た魚のように満面の笑みを浮かべ司令官気取りになる。
潜水艦の引き揚げから改修修繕、更にエンジン関係のプロを引き入れたりと着々と計画を実行していく。
作戦は分刻みで遂行されなければならないが、当然、悪党の中には嫌な意味での個性派がいたり、美女を巡る三角関係も暗い影を落として行く。
ある意味、荒唐無稽なアイディアに端を発するのでご都合主義な点も散見はする。それでも、沈没潜水艦発見から定石通りに進行し、都度サスペンス要素を盛り込み、アクションへと発展。更に、潜水艦映画の緊迫感ある常套シーンも描いていく。
だが戦争映画ではなく、悪党集団による犯罪映画である。それでも主役はフランク・シナトラだ。単純で低能な悪党という役柄てな訳がない。
実は、そこに本作の弱点がある。ただし音楽はジャズの巨匠デューク・エリントンによるもので内容とのミスマッチ感はあるものの素晴らしい。
ジャズ・ファンとしてはシナトラとエリントンの共演盤があるので、逆に本作では歌わぬシナトラと妙にシンクロし、それなりの効果を上げているのが微笑ましい。
可もなく不可もなくという作劇なので、もっと実力のある監督が手掛けたら妙味ある作品になったのではないかと推察。
しかしながら、やはりシナトラ御大だと余程の監督じゃないと委縮し、結果は同じになるだろうとも思うが。