スタッフ
監督:ロベール・アンリコ
製作:アラン・ポワレ
脚本:ロベール・アンリコ、トニー・レコーダー
撮影:ジャン・ボフェティ
音楽:フランソワ・ド・ルーベ
キャスト
コーネリアス / リノ・ヴァンチュラ
リンダ / ブリジッド・バルドー
サンダーソン / ビル・トラヴァース
ハモンド侯爵 / クライヴ・レヴィル
ウィルキー / アントニオ・カザス
ピ−ト / ジェス・ハーン
アルバレス / アンドレアス・ヴツィナス
レネ / ジャック・ペッツ
ロナルド / ギイ・マルシャン
日本公開: 1972年
製作国: フランス ゴーモン・インターナショナル作品
配給: 日本ヘラルド映画
あらすじとコメント
大の御贔屓俳優リノ・ヴァンチュラ。共演はBBことブリジッド・バルドーで彼女のセクシーさと彼の大雑把さとチャーミングさ双方を堪能できる娯楽作。
カリブ海、アメリカ領海内
アメリカに禁酒法が制定されていた1920年代のこと。外国で作られた様々な酒を密輸する海路、通称「ラムの大通り」と呼ばれるルートがあった。
古ぼけた小さな密輸船のコーネリアス船長(リノ・ヴァンチュラ)も命懸けで酒を輸送していた。ところがアメリカ側も領海侵犯する船を見過ごすはずもなく、発見次第有無を言わさず、いきなり銃撃してくるのだ。運悪く彼の船も見つかり逃走を試みるが、最終的に体当たりで撃沈されてしまう。
何とかメキシコの砂浜に流れ着いた彼は田舎町で『暗闇撃ち』と呼ばれる超危険な闇ゲームがあることを知る。それは実弾一発を450ドルで買った荒くれ者10人が納屋に標的を放ち、電気を消し一斉射撃。結果、標的が生き延びれば4500ドルになるというシステム。
もし、それで10回生き延びれば船が買えると思うコーネリアスだが・・・
武骨で荒くれ者の船長が映画女優に恋するロマンティック・コメディ。
実弾数発を撃ちこまれながら生き延び、新船を買い稼業に復帰する主人公。復帰歓迎パーティーが催されるが、仲間でもありライバルでもある船員たちと飲酒の果てに大乱闘になってしまう。
そこで逃れるように入った映画館で映画女優のヒロインに一瞬にして恋に落ちる。
とてもありがちな内容で、主人公が酔って砂浜にいくと何とたった独りで海水浴に来ていたヒロインと出会ってしまう。ある意味、ここまでベタだと逆に完全にコメディとして認知できるだろう。
そこからはタフな海の男が篭絡されていき、恋の行方やら、密輸の冒険などが絡んでくる。完全に作品の時代背景と同じ20年代のサイレント映画の如き展開と相成る。
それを大真面目というかケレン味たっぷりに、実にスタッフ、キャスト全員が楽しそうに作っている顔が浮かぶような内容に仕上がっている。
監督はリノ・ヴァンチュラとアラン・ドロンの傑作「冒険者たち」(1967)を作ったロベール・アンリコ。
ゆえに海上シーンなど、実に美しい。主演のヴァンチュラも大らかというか、武骨な不器用さを前面に出し何ともそれがチャーミングさを醸すゴキゲンな演技。
バルドーもキュートでコケティッシュなセクシーさを漂わせ、どこか主演二人の違うティストが、本来なら相容れないはずなのだが、不思議とマッチしてドタバタ調サイレント映画の再現に貢献していると感じる。
仲間の船員やら、途中から登場し強烈な印象で攫って行くイギリス人の海賊など、何とも魅力的な人物たちが楽しさを増幅させていく。
ただ、コメディゆえに日本人とのツボに違いもあるので手放しで傑作とは言えない。それでもアメリカ製が席巻していた無声映画にオマージュを捧げつつ、しっかりとフランス映画のティストも漂わせる。
ちょっとセンチメンタルさもあり、やはりバルドーよりもヴァンチュラの魅力が勝っているし、彼ゆえに中々の作品に仕上がっていると感じる。
ただし、当然マイ御贔屓俳優なので、かなりうがった眼で見てのことだが。
