海辺の家 – LIFE AS A HOUSE(2001年)

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スタッフ
監督:アーウィン・ウィンクラー
製作:ロブ・コーワン、I・ウィンクラ─
脚本:マーク・アンドラス
撮影:ヴィルモス・ジーグモンド
音楽:マーク・アイシャム

キャスト
モンロー / ケヴィン・クライン
サム / ヘイデン・クリステンセン
ロビン / クリスティン・スコット・トーマス
アリッサ / ジェナ・マローン
コリーン / メアリー・スティーンバジェン
キンボール / マイク・ワインバーグ
ピーター / ジェイミー・シェリダン
ライアン / スコッティ・リーヴェンワース
ウォーカー / スコット・バクラ

日本公開: 2002年
製作国: アメリカ ウィンクラー・フィルム作品
配給: ヘラルド


あらすじとコメント

今回もファミリーものにする。古き良き時代のアメリカ映画のティストを押しだした心温まるヒューマン・ストーリィ。

アメリカ、南カリフォルニア

父親から譲り受けたボロ家に住むモンロー(ケヴィン・クライン)は、再婚した妻ロビン(クリスティン・スコット・トーマス)と前妻の息子サム(ヘイデン・クリステンセン)の仲が上手く行っていないのを気にしていた。

そんな彼は勤め先の建築事務所を解雇されショックから倒れてしまう。病院で検査の結果、末期ガンと診断された。死に望んでジョージは不良の息子を何とか更正させたいと思い、夏休みを利用してボロ家を改築しようとする。

渋々、やって来たサムは学校で一緒のアリッサ(ジーナ・マローン)が隣に住んでいるのを知って・・・

末期ガンの建築家が古い家屋を息子と建て直すことで人生を見つめ直す人間ドラマ。

21世紀に入って鑑賞した作品で、久し振りにアメリカの良心を感じたドラマであった。

前妻との間に生まれた息子は思春期からか不良になっている。しかも同性愛者に対し、売春までしようとするタイプ。

そんな息子は高校の同級生である隣家の女子に好意を寄せているが、その母親は彼の悪友と姦通していて、まるで「卒業」(1967)のアン・バンクロフトのようだ。

しかもガンの主人公は、息子に時給を支払っての家屋建て直しと家族の再構築だ。つまり、残り時間が決まっているからゆえの行動でもある。

ひと夏の体験を通し、そこは親子だから徐々に心が通い合っていく展開である。

更に後妻の子供たちも手伝うようになり、これぞアメリカの理想的ファミリー像として進んでいく。

何よりもガンに冒されていく主人公を演じたケヴィン・クラインの鬼気迫る演技が圧倒的。時折見せるユーモアと父親としての苦悩を見事に演じ分けている。

その他にも愛犬、隣家の訳あり母親、仕事一途の彼女の夫などサブキャラも素敵。

シーンとしては骨組みだけの家でダンスを踊るとか、昔のホームビデオを見るとか素直に観てきた観客には、実にツボを押さえた演出も登場してくる。

それらのシーンを際立たせるように映しだすビルモス・ジークモンドのカメラワークも印象的。

これだけ荒廃した世の中で、結局こういった作品が作られるということは何よりも現代人が疲れきっているということに他ならないとも感じた。

どこかで疲弊した社会情勢の中で嫌が応でも生きて行かなければならない我々の中にある安寧さを求める懐古趣味。

静かに海の流れを感じさせるような畳み掛ける展開で、後半からは涙腺を刺激し続けて観る者を優しさで包み込んでいく作劇。

人間はまだ信じられるという性善説を前提にした作品で、何よりもハグを含めた係わり合いがさり気なく、そしてはっきりと伝わってくる良質のファミリー映画である。

余談雑談 2025年5月24日
黄金週間以降、若干人波に変化アリ。連休明けから自分が顔を出す飲食店が、軒並み閑古鳥が鳴いていると聞かされた。こちらは空いている店は大好きなので嬉しいが、店側はそうはいかないだろう。また、若干だがインバウンド系が減っているとも報道されている。...