スタッフ
監督:ルチアーノ・エンメル
製作:エマニュエーレ・カッスーレ
脚本:P・P・パゾリーニ、ヴィニチオ・マリヌッチ 他
撮影:オテッロ・マルテッリ
音楽:ロマン・ヴラード
キャスト
フェデリコ / リノ・ヴァンチュラ
シャネル / マガリ・ノエル
エルゼ / マリナ・ヴラディ
ヴィンチェンツォ / ベルナール・フレッソン
役名不詳 / サルヴァトーレ・ロンバルド
〃 / アントニオ・バーダス
〃 / ロジャー・ベルナール
〃 / ピーター・フェイバー
〃 / ジュリオ・マンシーニ
日本公開: 1962年
製作国: フランス、イタリア ネピ・フィルム作品
配給: 東和
あらすじとコメント
リノ・ヴァンチュラ出演作。今回は豪快を装うが、実は身勝手なだけの炭鉱夫を演じた作品。トータル的に見て人間ドラマとして味がある。
オランダ、ハンデブルグ
イタリアからの出稼ぎで炭鉱の町へやって来たヴィンチェンツォ(ベルナール・フレッソン)たち。言葉もほとんど通じず、苦労しながらも何とか宿舎まで辿り着いた。
右も左も分からぬまま翌日から炭鉱に入っていく。彼は班長のフェデリコ(リノ・ヴァンチュラ)に指導されながら仕事を開始するが、落盤事故が起き閉じ込められてしまう。この程度ならすぐに救助が来ると言うフェデリコだが、翌日になっても救助は来ず嫌な空気が流れ始める。それでもフェデリコは救助されたらハンブルグにある売春街に繰りだそうや、と激励した。
その翌日、彼らはやっと救出され、憂さ晴らしとばかりに「飾り窓」が並ぶ地帯へ出掛ける。フェデリコには馴染みのシャネル(マガリ・ノエル)がおり、初めてのヴィンチェンツォに探してやると目を付けたのが、どこかアンニュイな雰囲気のエルゼ(マリナ・ヴラディ)で・・・
炭鉱夫たちと商売女たちが過ごす週末を描くドラマ。
出稼ぎでやって来た気弱で引っ込み思案の青年。大風呂敷を拡げがちで先輩風を吹かす上司。
落盤事故から救助されると、気弱な青年はたった二日にして仕事を辞め帰国すると言いだす。
見かねた上司は売春窟に出向き慰めようとするが、実は自分の馴染みに会いたいためでもある。しかも値切って週末の二日を買い切りドライブで郊外までいこうと。
戸惑う青年は、どこか物憂げで世捨て人の雰囲気を漂わす美人に興味を示すが、当初は別な客に盗られたりしながら、一寸した偶然で関係を持つことになる。そして上司に黙って23時発の夜行でイタリアへ帰国しようとするが、そこから急に物語が転がりだす。
「飾り窓」では短時間で性欲を満たす代わりに安いというシステムが基本のようだ。だから先輩は安く貸し切って土日を女連れで過ごすのは「モテる慣れた遊び人」と認知して貰いたいようである。
つまりどこの国にでもいるタイプ。当然、傍若無人な態度から痴話喧嘩に発展するが、それでも商売とばかりに許諾する。しかも何と青年とヒロイン売春婦も加わっての二日間がメインとなる。
ヒロイン役のマリナ・ヴラディが、何故気弱な青年に好意を持つのかは、ちょっとご都合主義的設定だが、それでも若くして人生から降りてた態の「はすっぱ女」が、心を通わせようとしていく表情変化の上手さには舌を巻いた。
上司役のヴァンチュラは、彼らしからぬ嫌な単純男を嬉しそうに演じているし、ヴァンチュラの馴染みの女役のマガリ・ノエルもバランスを取りながら攪拌する役どころで興味深い。
1時間半の上映時間で落盤事故、アムステルダム売春街の出来事と、週末の郊外でのドラマときっちり三分割された構成になっており、終盤の盛り上げ方も定番とはいえルチアーノ・エンメル監督のヤラシさが伝わり引き込まれた。
特に音だけで直接的なものは写さないながら、観客に映像を脳内で浮かび上がらせる手法など、ラジオ的な視覚教唆として印象深い。
戦争孤児の売春婦の純情が心に吹き溜まり、やがて昇華されていく北風を描いた作品。
ラストは希望をも感じさせるので、人間ドラマとして評価に値する作品である。


