麗しのサブリナ – SABRINA(1954年)

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スタッフ
監督:ビリー・ワイルダー
製作:ビリー・ワイルダー
脚本:B・ワイルダー、S・テイラー、アーネスト・レーマン
撮影:チャールズ・ラング jr
音楽:フレデリック・ホランダー

キャスト
ライナス / ハンフリー・ボガート
サブリナ / オードリー・ヘップバーン
デヴィッド / ウィリアム・ホールデン
フェアチャイルド / ジョン・ウィリアムス
ララビー氏 / ウォルター・ハンデン
エリザベス / マーサ・ハイヤー
マーガレット / マージョリー・ベネット
ヴァン・ホーン / ジョーン・ヴォーズ
タイスン / フランシス・X・ブッシュマン

日本公開: 1954年
製作国: アメリカ パラマウント作品
配給: パラマウント


あらすじとコメント

「ローマの休日」(1953)の次にオードリーが主演したロマンティック・コメディの最高峰。大の御贔屓監督ビリー・ワイルダーの手腕が冴える大好きな作品。

アメリカ、ニュー・ヨーク大富豪ララビー家のお抱え運転手の父親と一人娘のサブリナ(オードリー・ヘップバーン)は、広大な敷地内の隅に住んでいた。。

小さな頃から二枚目でプレイボーイの次男坊デヴィッド(ウィリアム・ホールデン)に熱を上げている。しかも彼は若くしてバツ2だ。当然、身分が違い過ぎるのでどうにもなりはしないのだが、それでも夢中。父親は問題ありと判断し、花嫁修業名目で、二年間パリへ留学させることにした。

一方で、長男ライナス(ハンフリー・ボガート)は凄腕ビジネスマンで、新しい事業のため、次男に惚れている美人財閥令嬢と結婚を画策中。

そんな折、すっかり洗練されたサブリナが戻ってきて・・・

飛びっきり素敵なシンデレラ・ストーリィを見事に描いた秀作。

運転手の娘の激変に反応する二枚目プレイボーイと、堅物で仕事一直線の長男。

そんな長男がビジネス優先で政略結婚をさせるべく、弟との仲を裂こうとして「ミイラ取りがミイラ」という筋運び。

解りやすい展開を実に見事なストーリィテリングで魅せてくれる。夢見る夢子の少女が、突如、絶世の美女に変貌する。

オードリーだから合点が行くし、事実、見事なる変身。前作の「ローマの休日」〈1953〉の次が本作で、王女とは全く違う印象を与えるが、それでも美女は美女。

「サブリナ・パンツ」という後世にまで残るファッションが登場したり、ワイルダー監督らしく、シャンパングラスや新製品の強化プラスティック、父親の葉巻など、実に気の利いた小物の起用法。

原作は舞台劇でどれほど忠実なのかは分らぬが、やはりワイルダーらしい洒落たセリフが随所に登場し、思わず微笑んだり、声をだして笑ったり。

例えば『月』に関する台詞は最初に運転手の父親が、富豪に恋するなんぞ「月に手を伸ばすもの」と言い、パリの老伯爵は「月にロケットで行く時代」、そしてヒロインは変身して帰国後の次男の対応の変化に「月が近付いてきた」と微笑む。

月だけでポジションや価値観の違いを、これほど分かりやすく、しかも洒落た言い回しで起用するのは良い例だろう。

更に堅物長男に、かのボギーことハンフリー・ボガートという意表を突いたキャスティングをするわ、オードリーだって、「ローマの休日」の王女よりも、実にコケティッシュでチャーミング。

特にオードリーの魅力の見せ方は、ウィリアム・ワイラーよりもビリー・ワイルダーの方が上手く引きだしていると感じた。

その他にもワイルダーの演出と進行法は、実に軽快で流麗。

何とも洒落た映画で、肩肘張らずに観ていくうちに、グイグイと引き込まれるラブ・コメディの秀作。

余談雑談 2020年4月25日
先の見えぬ日々。自粛要請に対し自制できている人たちにはストレスが溜まり、飽きた連中は外出傾向が顕著との報道ばかり。 ある意味『赤狩り』の印象。まあ、真面目な性格の人たちはイライラが募るのが普通だろう。 何事も考え方かもしれぬが、自分など行け