余談雑談 2018年10月20日

沖縄旅の続き。渡嘉敷島で半日を堪能し、小さな渡し船で今回のメイン「阿嘉島」へ。

夕刻、人の気のない港から歩き、一泊目の民宿へ向った。そこは、ごく普通の一軒家。

声を掛けると裏からお婆さん登場。今日は、自分だけの貸切と言われ、建てつけの悪い網戸の玄関を開けると正面の六畳二間が貸室で、片方を指さした。成程、そこだけじゃ、プライバシーも存在せず、ひとり旅だと同室は当然か。

せんべい布団が一組あり、障子は穴だらけで、クーラーとテレビは一時間幾らの課金式。幸運だったのは、北風が時折強く吹くので、窓と障子を開ければクーラーは必要なしだ。

で、荷ほどきもせず、晩飯まで時間があったので、早速、明るいうちにと、同じ道沿いにある翌日の宿も確認しがてら散策に出た。そちらは二階建ての民宿らしい造りだ。

実に小さな集落で散歩しても20分とかからない場所。確かに飲食店は少なく、その上自販機やらゴミ箱もない。何もしないことが好きな人にはある意味、好材料。

戻って少し情報を得ようとPCを出すと、何と無線ルーターを那覇に忘れてきていた。まさしく自己責任だが、ここでは何もするなという思し召しと諦めた。

夕食は、別棟の食堂であった。実に質素な内容で、若者には足りないだろうなと。しかし、流石の離島魂。ビールを頼んだら、缶ビールを一本くれて、サービスね、と。だから寂びれた場所が好きなのさ。

翌日も、いつも通りの習慣で早朝に目覚めた。玄関を開け、外に出ると、やはり時々、強い風が吹き肌寒いほど。確か前日の天気予報では、午後から雨だったはず。傘もないから別宿でボンヤリか。

軒先で、そんなこと考えていると、狭い路地の反対側の空き地に天然記念物の「アカ鹿」が一頭現れた。こちらを恐れるでもなく、どうやら餌を探しているようだ。すぐにカラスが近付き、食べ物でもあるのかと見ていたら、突然、カラスが鹿をつつき出した。どうやら体についている虫を食べている模様だ。

始めはつつく程度だが、やがて大胆に背中に乗った。すると二羽目が飛来し、二羽で背中の上で虫をつついていたが一向に嫌がらない鹿。これぞ共棲って奴か。何とも微笑ましい光景で朝から上機嫌になった。

朝食も、実に質素で食堂棟でたったひとり。幸運にも、そこのテレビは無料なので天気のチェックをしようと見ていたら、突然、宿のおばあさんがボソボソと外部から話しかけてきた。

「今日はこれからどうするの」と尋くので、別な宿へ行きますと答えると、あれま、今、村内放送が流れていて、船が欠航になるよ、と。

曇り空だが青天の霹靂。何でも、朝の一便だけで以降は欠航らしいね、と。詳しい話は知らんねと仰るので、外に飛びだしたが、放送は終了。確かに強風が吹いている。

さて、事実だとしたらどう確認するかと逡巡し、次の宿のご主人へ連絡をいれた。

もし、明日の朝絶対に帰るならダメだね。多分、明後日だね。躊躇いながらも、キャンセル。宿泊確認を前日に入れ、間違いなくドタキャンしませんと伝えたのに、である。

慌てて勘定を済ませ、早足で港の船着場へ向った。ところが発券所が開くのにはまだ時間があった。それでも、一便以降欠航の張り紙と既に一名が並んでいた。

開店と同時に予約して一安心だが、1時間半以上待つ羽目に。前日も夕方5時着で集落以外の観光も一切していない。

何と滞在時間15時間であり、まるで質素な飯を親戚の家に食べに来て、薄い布団で寝ただけの印象。

成程、阿嘉島は、ノット・ウエルカムということねと消沈。港から周囲を見渡すが、ボツボツ帰る客が参集してくる程度。

やっと来た朝の一便は高速艇。それでも、アジア系観光客が何名も降りてきた。日帰り不可と知ってのことか。

まあ、こちらは無事に戻れると安心して乗船。数十分間、波の上を激しくバウンドしながら那覇へ戻った。それはそれで面白い体験だったが。

那覇は風が強いが雨はなく、ならばランチは、港近くのしばし行ってない食堂と決めていた。だが、思ったよりも距離があり、せめてビールはあるだろうなと着いたら、何と閉店していた。

翌日は雨模様で、今期最低気温で25度に届きませんと嫌な後押しする天気予報。確かに、上着も長袖も持参せずで寒いこと寒いこと。結果、那覇で飲んだくれの二日間を過ごした。

やはり、沖縄旅行は一筋縄ではいかないと再確認した旅。

でも良いさ、新たな旨い食堂と行きつけの飲み屋を開拓したから。次回は、そこへ行く楽しみも増えたし。

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