正月明けの連休も終わり、こちらは新たな歯医者での治療が始まった。
また、親切な読者の方から連絡があり、ご家族がお世話になった歯科治療が上手い病院を紹介してくださった。場所も自分が住む同区内である。嬉しい限りであり、この場を借りてお礼申し上げます。新規歯科の具合によって考えてみます。
さて、その歯医者は、実家から徒歩10分もかからずに行けるのではあるが、平素はまったく通らぬ場所にある。
今週も寒さが残る朝、実家へ行き、タバコ屋を開店すると、すぐさま母に店番を頼み、歯医者に向かった。有名観光地とはいえ、大きな通りをひとつ隔てると、中小のマンションが並ぶ住宅地。
そこで出勤の人たちと擦れ違う。たった一人、駅とは逆方面に向かう自分は、こんな時間に、どこへと妙な目で見られる。まあ、こちとら常に他人様と違って『後ろ向き』ってことですよ、とか思いながら、素知らぬ顔で遣り過ごす。
歯医者に入ると、まだ暖房が行き届かずに寒いままであった。他に患者はおらず、一番乗り。まあ、家族経営の小さな町医者。一度に多くの予約を取らないってことだろうが。
小さな水槽の中の熱帯魚は寒くないのか、てなことを考えつつ、治療が始まる。未だ、当座の様子見もあるだろうし、治療は20分とかからない。
外に出ても、未だ寒いまま。タバコ屋の店番に戻るため、今度はこちらが駅方面へ向かう立場になる。成程、こちらに向かってくる人は、これからどこぞに、という態に見えなくもない。
まさか、歯医者じゃないよなとか、いくら保険適用内とはいえ三割負担。インプラントや高級樹脂による笑顔の時の人生の見栄えの良さを棒に振っても、掛かるものは掛かる。年が明けても、すぐに金の問題か。
またぞろ、絶世の美女が1億円を抱いて道に落ちていないかと想像する。こっそり持ち帰って両方とも大事にするのにてな、妄想を抱きつつ店番に戻る。
何て思っていたら、その日の夕方、自室に戻ると、以前の歯医者から定期検診の案内が来ていた。もしかして、そろそろインプラントが外れるころと予想してたのではあるまいな。それとも経営が厳しく、拝金したいのか。
どの道、もう用無しのハガキだ。久々に紙飛行機でも折って、窓から飛ばしてみるか。
新しい先生、どうぞ、よろしくお願いしますぜ。