さよならをもう一度 – GOODBYE AGAIN(1961年)

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スタッフ
監督:アナトール・リトヴァク
製作:アナトール・リトヴァク
脚本:サミュエル・テイラー
撮影:アルマン・ティラール
音楽:ジョルジュ・オーリック

キャスト
ポーラ / イングリット・バーグマン
ドゥ・マレ / イヴ・モンタン
ヴァン・デル・ペシェ / アンソニー・パーキンス
テレサ / ジェシー・ロイス・ランディス
ギャビー / ユタ・テーガー
スタイナー / アンドレ・ランドール
ジャッキー / ジョセリン・レーン
フルーリー / ピエール・デュー
アリス / アリソン・レガット

日本公開: 1961年
製作国: アメリカ マーキュリー・プロ作品
配給: ユナイト


あらすじとコメント

今回もイヴ・モンタン主演にして三角関係になる恋愛モノ。相手役はイングリット・バーグマンで、もう一人の相手役はアンソニー・パーキンスという組み合わせ。

フランス、パリ

室内装飾家のポーラ(イングリット・バーグマン)は40歳になる独身女性で、二枚目の恋人ドゥ・マレ(イヴ・モンタン)がいる。そんな彼女はアメリカ人の富豪夫人から屋敷内の改装を依頼される。

約束の時間に邸宅を訪れるが夫人は居らず、一人息子のヴァン・デル・ベシェ(アンソニー・パーキンス)がいた。彼は25歳になる青年で甘やかされ放題で育ち、現在はコネで弁護士事務所に勤めている。

そんな彼は一瞬にして大人の色香を放つ、一回り以上も年上のポーラに惹かれて・・・

身勝手に見える人間たちが織り成すドラマ。

色気が尋常ではないが孤独な四十路女。プレイボーイを自称し若い女性をとっかえひっかえして、それを恥かしげもなく自慢する恋人。どう見ても躁うつ病にしか思えない甘やかされた一人息子。

この三名が繰り広げる恋愛模様と各人の自分探し。ヒロインは自分の賞味期限の微妙なスタンス、恋人のプレイボーイは若僧に心が揺れ動くヒロインに対し嫉妬から浮気相手らとの比較、青年は大人へのステップアップ的憧れ。

このように大人の男女と青年間で繰り広げられるのは「恋愛ごっこ」とも思える各人による思い込みとマウントの三角関係。

原作はフランソワーズ・サガンなので、どうにもシニカルさと冷徹さが匂い立つ。流石のフランス系とばかりに、誰もが自己中心的で他人の意見を尊重するよりも、自分の優位性や特別感を押し付ける。

そんな登場人物たちに印象的に被さるのがブラームスの音楽。サガンの原作名も「ブラームスはお好き」である。クラシック音楽は専門外なので詳しくは記せないが、三者三様の心情を上手く描いているかというと、そうでもないと感じた。

ヒロインが二人の男の間で常に迷う姿が印象的。どこかくたびれた中年女のイングリッド・バーグマンに、キザが際立つイヴ・モンタンは適役である。ただ、若いアンソニー・パーキンスは「サイコ」(1960)の直後なので、どうしても異常性から本作内でも殺人か自殺でもしてしまうのでは、という奇妙な不安感に苛まれた。

ベースにある『40歳独身女性』というスタンスが、現在ではこれほどではないとも思えるが価値観は時代とともに変化するとも感じさせてくれる。

それでも人間各々の本性は変わらないという絶望感と共に『大人の選択肢』を教授してくれる作品でもある。

余談雑談 2024年3月23日
芸術は秋でなくても大丈夫。 仲の良いオジサン三人で第1回目の美術館巡りに行ってきた。 そもそもは唯一車を保有している脚の悪い仲間が車でしか行けない小さな地方の美術館に行きたいと言ったのが発端。賛同した仲間と自分も参加してのこと。 今回は千葉