スタッフ
監督:ロジェ・ヴァディム
製作:ラウール・レヴィ
脚本:ロジェ・ヴァディム、ラウール・レヴィ
撮影:アルマン・ティラール
音楽:ポール・ミスラキ
キャスト
ジュリエット / ブリジット・バルドー
キャラダイン / クルト・ユルゲンス
タルデュー / クリスチャン・マルカン
ミシェル / ジャン・ルイ・トランティニャン
ルシエンヌ / イザベル・コーリー
モラン夫人 / ジェーン・マルケン
ルフラン / ジャン・ティシェ
モラン / ポール・フェーヴル
クリスチャン / ジョルジュ・プジュリ
日本公開: 1957年
製作国: フランス コシノール作品
配給: コロンビア
あらすじとコメント
前回紹介した作品でヒロイン役を演じたBBことブリジット・バルドー。今回は彼女の人気を決定付けた作品にする。ある意味、ファム・ファタール的役どころ。
フランス、サントロペ
孤児で18歳になるジュリエット(ブリジット・バルドー)は、子供のいない夫婦に預けられていた。しかし奔放というか身勝手な性格でわざと他人に見えるようなところで裸になったりするので、車椅子の義父からも好奇の目で見られる始末。当然、義母からは疎まれていた。
そんな彼女は周囲の男たちもメロメロにさせるほどの妖婦で、飲食からホテル業へと事業拡大を狙う地域一番の金持ちキャラダイン(クルト・ユルゲンス)から、彼が事業用地にと狙う場所で船舶ドックを細々と営むダルデュー(クリスチャン・マルカン)と弟ミシェエル(ジャン・ルイ・トランティニャン)もどうにか彼女をモノにしたいと狙っている。
ところがジュリエットは奔放で誰にでも気がある素振りを見せるが、易々と篭絡はされない。当然、地域では悪評が立つばかりで義父夫婦は孤児院へ戻そうと決めた。
だが、彼女は戻りたいはずもなく誰かと結婚でもすれば逃れられると・・・
魔性の少女が起こしていく騒動を描くドラマ。
孤児であるからか他人からの愛情に飢え、常に友だちが欲しいと言っている少女。
しかし、近寄ってくるのは下心を持つ男たちばかり。何故なら、いかにも男たちを誘うように試すような言動ばかり取る小悪魔タイプだから。それが自分への好奇の目としてしか向けられなくてもである。
そのあたりが18歳という「大人びたい少女」の限界であるから。それでも基礎学力もなく、潜在的な孤独感に苛まれているから、ある意味、本能的でもある。
何かと纏わり付くような嫌な湿気を放つ少女。妙なる妖気でもある。
演じているのは22歳のブリジット・バルドー。バストトップこそ晒らさないものの、肩や背中、スカートがめくれ黒い下着が露わになったり、ブラジャーを着用していないシャツの下で完全に形が解るような肢体を見せつけてくる。
成程、世界中の男たちがアメリカのマリリン・モンローとは違うタイプの若い女性、つまりはセックス・シンボルとして大人気を博していったのが理解できる。
18歳という年齢の割には、やさぐれていてツンケンしているタイプ。それでいて淋しがり屋の上、気分屋。
大人たちはある程度の分別を持って接しようとするのが面白くなく、結局、結婚目的のターゲットとして射貫かれるのが船舶ドッグの次男坊である。
純真な次男坊の方は、結婚して一度でも関係を持てれば良いとも思わされ、簡単に篭絡され暴走していく。
それでも他の男たちにもいわくありげな眼で見続けるので、そちらにも挑発的行為をしていく。
監督はバルドーともアメリカのジェーン・フォンダとも浮名を流したロジェ・ヴァディム。なめるように女性を撮らせたら実力を発揮する監督。
その監督デヴュー作でもある。28歳にして22歳のバルドーをこう撮るかと天性のヤらしさを感じざるを得ない。
それにプレイボーイで一番の大人役に、いかにものフランスの中年二枚目俳優を起用せずに、ドイツ軍人や将軍役の印象が強いクルト・ユルゲンスを起用するとは、そのあたりも人間としての若き成熟さを感じざるを得ない。
内容的には不良少女の話だが、スタッフやキャストが上手く作用すると中々のドラマになると思わせてくれる。
BBがセックスシンボルと呼ばれるようになると確信させられる妖艶さを感じられるだろう。
