オジサン三人旅に行ってきた。
先ずは個人で収集した陶磁器専門美術館。創設者は若くして政治家になりながら、陶磁器の素晴らしさに目覚め職を辞し、猛勉強して稀代の蒐集家になった御仁。
生涯をかけて蒐集したものを紹介したくなり、複数棟にも及ぶ美術館を作ったとか。
かなり広大な丘陵部分に幾つもの建物を点在させ、客を周遊するように楽しませようとしている。
ただし、どの建物にもエスカレーターやエレベーターがなく、中には6階まで狭い階段を使用せよというもの。
しかも雨上がりだったので未舗装の道や石段も滑りやすく、気を遣いつつの周遊。こちらには両松葉杖使用者がいるので、流石に全部を制覇することは不可能だった。
恐らく建造当時の価値観では来場者全員が健常者で疲れ知らずであり、自分の蒐集作品集を喜んで鑑賞するというコンセプトだったのだろうと。
創設者自身が勉強を重ねたゆえに各作品紹介の文章を自身で書いており、確固たる自信に満ち溢れた「である」という断定調なので、TVの鑑定団などにでたら意見の違う評論家と激突したろうなと想像してしまったほど。
今回は複数の美術館巡りにせず、そこだけの訪問にしたのは正解だった。そこから全員がお気に入りの奥日光の温泉地へ向かう。
一泊目は「熊鍋」を提供する初めての宿で、今後への期待が高まる。その前に、小さな小さな温泉街的なゾーンへ。熊鍋を提供してくれていたが熊撃ちマタギの御主人が引退し、食べられなくなった飲食店に近付くと、あれれの休業。
眼前にあるここもいつも顔を出す酒屋に横付け。ご主人に尋くと、女将さんが腰を痛め休業中で、夏頃には開店できるかもと。
これにはショックを受けた。マタギの親父さんは兎に角、女将さんの料理が全て美味く、一緒に行った仲間たちが全員再訪したいと言い切る店だけに。
気を取り直して新規宿に到着。そこは、温泉地にある4種類の源泉すべてがある宿だと知る。更に期待が高まり夕食まで温泉を楽しんだ。
ところが、である。「お決まり御膳」分の食事は味付けが自分の口に合わず。嫌な予感がよぎるが、いよいよ期待の熊鍋。
以前食していた常店の味付けとはまったく異なり、白味噌ベースに野菜が沢山入ったもの。全体がまろやかで甘くなり、野趣あふれる「熊鍋」というより野菜鍋という印象が勝った。
この地での、熊鍋は終了したんだなと。焼くというジビエは他にもあるだろうが、鍋となると又違う気もする。まあ、大前提が自分の口に合うかどうか、の判断基準だが。
結局、その宿の湯は素晴らしいが料理は首を傾げたという印象。鄙びながらも大好きな温泉地だが、あれもこれもが好みに合う宿に当たるのは無理なのねと確信。
まあ、二泊目は勝手知ったる大好きな宿。四つの風呂も食事も全部が何ら変わらず、まるで実家の如く。
だが、優しい宿の女将さんも、後どれ程頑張れるのか。こうなると行けるうちに何度でもリピートしないと。
さて、次回はと考える。おいおい沖縄はどうするのよ、とすぐ浮かぶ。
まあ、それはまた別な話で。